島田氏は、なかなか回復しない個人消費の根本原因は、住宅問題にあると言う。高齢化社会を迎え、将来への不安が増す中で、人々が貯蓄を増やすのはある程度当然のことではあるが、日本の場合、住宅は売ることも貸すことも極めて困難であることから、しばらくすると事実上、資産価値が無くなってしまう、という特殊事情がある。この点が他の先進国と大きく異なる点であり、また世界の学者やアナリストを悩ませている点である。この背景には、戦後何十年と続いた持家促進政策があり、これはその限りでは大成功であったが、その過程で賃貸や中古住宅の流通を冷遇、阻害することになってしまった。住宅は立派な資産であることを人々が認知する必要があり、そのためには、賃貸や中古住宅の流通市場が機能するような政策が必要である、と島田教授は指摘する。
英語の原文: "Housing Market Reform a Key to Japan's Economic Recovery"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20031014_shimada_housing/