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注目記事 (2004/4/12)

Opinions:
 
「なぜ日本がイラクに自衛隊を派遣するのか」
神保 謙 (日本国際フォーラム研究主幹)
  
神保氏は、自衛隊のイラク派遣を支持する国民が不支持を上回るにも関わらず、派遣に関する政府の説明に満足していない人たちが圧倒的多数を占めている点に注目し、国民は今、あらためて、安全保障の論理という観点から、イラク派遣に対する説明を求めていると指摘する。そして、この説明は、「空間横断の安全保障」の出現として表現できるのではないかと提案し、「グローバル」「地域(リージョナル)」「国家(ナショナル)」の三つの空間軸の変化がその背景にあるとする。グローバルな対応として、日本は、90年代にはいってから、国際平和協力業務への参加を積極的に行って来た。リージョナルな視点からは、「周辺事態」への対応を、整備してきた。またナショナルの軸からは、有事法制の議論が行われてきた。そして今、これらの三つの軸が互いを侵食しつつ空間全体が変質しつつある。テロが世界の何処を襲うのか分からないという脅威、朝鮮半島の核開発が世界に拡散する危険、これらは何れも、日本の安全を、国という単位や地域という範囲では捉えきれなくなったこと、即ち、遠い場所での出来事と日常の人々の安全が直結する事態が発生していることを示している。この観点に基づくあらたな「空間横断の安全保障」に基づき、日本はイランに自衛隊を派遣した、と認識できるのではないか、と神保氏は主張する。
英語の原文: "Why is Japan sending SDF troops to Iraq?"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040412_jimbo_why/
 
Debates:
 
「地域安全保障メカニズムの構築」 
Pang Zhongying (南開大学教授)
  
Pang 氏は本稿で北東アジア地域安全保障メカニズムの構築を提案する。北朝鮮問題について6者協議が進んでいることに鑑みて、これをもとに多国間の取り決めによる北東アジア安全保障メカニズムを作ることが可能であり、それには米国が大きな役割りを果たすとともに、中国の同意も欠かせない。それによってやがては台湾のような性格の問題も多国間での話し合いに委ねることも不可能ではなくなるのではないかと、Pang 氏は述べている。
英語の原文: "Building a Regional Security Mechanism"
http://www.glocom.org/debates/20040406_zhongying_building/
 
Special Topics:
 
「日米関係150周年における日本の発言力」
ジョン・デボア (スタンフォード大学ジャパン・フェロー、GLOCOMフェロー)
  
日米関係150周年を迎えて、ブッシュ大統領と小泉首相は、かつてないほど日米関係を強化したことを強調している。実際に安全保障面で自衛隊を中東地域に派遣することで、日本は米国に対して次第に自分自身の主張をするようになってきた。例えば、それは最近のイランとの石油に関する契約の締結などに表われている。ただし、安全保障面で日本の主張が尊重されることが、世界を不安定化させている米国主導の政策に加担しないかどうかはまだ見極めが必要であるが、とデボア氏は結んでいる。
英語の原文: "After 150 Years, Japan Claims to Have More Say in America"
http://www.glocom.org/special_topics/us_report/
20040408_usreport_s11/
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