福澤氏は、映画「ロスト・イン・トランスレーション」の舞台となった日本が、米国人の眼を通すと改めて異質に見えること、それは恰もかつて米国で流行った「日本異質論」に通ずるのではないかとの印象を受けたことを契機として、改めて、日本は世界から本当に理解されているのだろうかという懸念を表明する。日本が特殊に見られる過程の一つとして、例えば中国からの留学生は、欧米に留学した人たちの方が、日本に留学した人たちより高い地位に付くという現象が見られること、そしてその結果、中国からの日本に対する視線が欧米的になり、日本流というものが理屈に合わないものとなる可能性もあるのではないかと指摘する。何故、日本の大学が欧米の大学に比べて劣後するのかを議論し、優秀な日本人学生の海外への流出、外国人留学生の日本敬遠は避け、ひいては日本を海外から特殊視させる動きを助長してはならない、と福澤氏は主張する。
英語の原文: "Japanese peculiarity depicted in 'Lost in Translation'"
http://www.glocom.org/debates/20040413_fukuzawa_japanese/