GLOCOM Platform
debates Media Reviews Tech Reviews Special Topics Books & Journals
Newsletters
(Japanese)
Summary Page
(Japanese)
Search with Google
注目記事 (2004/4/30)

Opinions:
 
「東アジア経済統合の展望」
行天豊雄 (国際通貨研究所理事長)
  
   国際経済・通貨分野で世界が認める第一人者である行天氏が、東アジアにおける経済・金融協調の現状について例を挙げて俯瞰した上で、欧州連合(EU)の経験を分析しつつ、東アジア地域での経済統合は、少なくとも欧州型を基準にするのは現実的ではない、と指摘する。
   1997年の経済通過危機後、経済通貨分野で協調体制が大きく進展しているが、この動機には、自らの経済力の強化及び米州・EUへの対抗意識がある。具体的には、自由貿易制度の進捗、二国間通貨スワップ協定の拡大、市場監視体制の強化、アジア債券市場の萌芽などが挙げられる。
   一方、EUや米州の例と東アジアの状態を比較すると、EUの場合各構成国が比較的同質であり、米州では逆に米国という巨人を筆頭に序列を成していたのに対し、東アジアの場合、構成国の間で様々な要素が入り組んで居り、米欧何れの例も必ずしも参考にはならない。喧伝される日中の指導権争いについては、競合より協調の方が有利であることに両国とも気が付いたようではあるが、そもそも、地域統合に向けての情熱が東アジア全体に同じように浸透していない。
   以上から、東アジアの統合というものを、例えばEUと同様に捉えるならば、これは現状では見通しが立たないと言わざるを得ない。しかし、それを逆手にとれば、東アジア独自の、柔軟で強靭な経済「統合」の形も展望できるのではないか。
英語の原文: "Asian Regional Integrations: Its Potential, Its Limits, and Lessons Learned from Europe"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040430_gyohten_asian/
 
Debates:
 
「ケリー大統領候補に対するアジア政策に関しての助言」 
ラルフ・コッサ (CSISパシフィック・フォーラム会長)
  
   コッサ氏は、民主党大統領候補に内定したケリー氏に対する助言、という形式を採って、北朝鮮に対する姿勢は早い段階で明確にすべきであると主張する。
   もし、ケリー氏が大統領選に勝ったとしても、核問題をはじめとする諸問題を抱えたままの北朝鮮との関係改善を志向するとは思えないが、であればその旨の立場を今の時点から明らかにして置くべきである。即ち、北朝鮮をして、もし民主党政権に変わったら、同国に対する米国の姿勢が和らぐのではないかという期待の下、六カ国協議をはじめとする諸交渉の局面で時間稼ぎをさせないことが必要である。今後選挙に向けて、ブッシュ大統領との政策論争の過程で、現在の北朝鮮対策も批判すると、ケリー氏自身も意図しない間違ったメッセージを北朝鮮に伝えてしまうおそれがある。
英語の原文: "(Unsolicited) Advice to Senator Kerry on Asia"
http://www.glocom.org/debates/20040428_cossa_unsolicited/
 
Debates:
 
「経済回復は小泉首相のおかげでは無い」
グレゴリー・クラーク (国際教養大学副学長)
  
   日本経済が回復に向かっているが、これは、小泉首相の政策が功を奏したものではない、とクラーク氏は指摘する。
   日本経済回復の要員の一つは、的確な投資誘致政策と低賃金により大きく躍進した中国経済の好調であり、もう一つは、経済自体の循環性による自律的な立ち直りである。しかしこの間小泉政権は、不況にも関わらず景気刺激策を採るどころか逆に引き締めを行い、銀行に不良債権の圧縮を迫り倒産を増大させ、不況を更に悪化させて来た。
   今後暫くの間は、持続する中国の好況、IT産業の活況による株価の下支え、米国経済の回復、日銀による緩和政策の継続等により、回復が進むことが期待される。しかし懸念材料もある。一つは回復の兆しが見えない国内需要の低迷、 そして、需要ギャップを埋めるための財政支出の原資を、税金ではなく借入に頼っていることである。
英語の原文: "Don't credit PM for recovery"
http://www.glocom.org/debates/20040427_clark_dont/
 Top
TOP BACK HOME
Copyright © Japanese Institute of Global Communications