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注目記事 (2004/5/17)

Opinions:
 
「東アジア共同体と日本の戦略」
山澤逸平 (国際大学学長)
  
   山澤氏は、まず2004年5月1日にEUが25カ国に拡大したことに言及し、東アジアでも同様の共同体ができるかどうかを問うている。東アジアの現状は、市場先行で域内の貿易や投資の緊密化が日・韓・ASEANの間で進んできたが、特に1990年後半の通貨危機を契機に地域統合の動きが顕著になり、最近この動きに中国も加わって、多くのFTA構想が出てきている。日本もシンガポール、韓国、ASEAN諸国などとのFTAを進めつつあるが、この面では中国に遅れをとっているといえる。ただし対ASEANではこれまでの実績をもとに、統合されたASEANとの包括的な経済提携を進めることで大きな経済的メリットが期待できる。
   今後の東アジア経済共同体への展望としては、経済合理性からいえば東アジア全域をカバーする経済圏の形成がベストであるが、日・中・韓の間の相互不信といった非経済的要因でその進展が阻まれている。したがって、当面はそれぞれのニーズに対応して可能なところから実現していく以外にない。さらに経済統合によって一つの経済システムを共有することになるが、アジアではそれが必ずしも英米基準になるとは限らず、ある意味では諸国間の差を許容する多様性を備えた独自の経済システムを形勢することが望ましい。ただし、あくまでグローバルな競争に生き残る効率性を有することが必要条件であると山澤氏は述べている。
英語の原文: "East Asian Community and Japan's Strategy"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040517_yamazawa_east/
 
Debates:
 
「中国に必要な民間投資家の育成と情報自由化」 
ボー・エクマン (評論家、スウェーデン在住)
  
   世界的企業のトップを経て、現在ストックホルムから評論家活動を行っているエクマン氏が、一般論として、外国からの投資を維持することと、国内の統制緩和・情報自由化を行うことは、実は同じことである(原題である「コインの両面」)という観点から、中国の経済発展に関し、その脆弱性を指摘している。まず、資本主義というものが、往々にして社会主義者が主張するように、他の思想と対立する一種のイデオロギーである、との認識は間違いであり、寧ろそれは、国家資本主義や中央指令型経済に対する経済運営の方法論の違いと捉えるべきである。最大の矛盾は、政策遂行者と投資家が同一であった場合で、これでは資本主義の基礎である、資源の最適配分が可能にならない。一方、現在資本主義を採用している国の中でも、経済・経営スキャンダルに悩まされているが、これは、報道の自由を含む情報交換の自由が阻害されている場合が多い。
   現在、中国に対しては巨大な投資が進行しつつあるが、更に順調な発展を持続するためには、資本主義の原則と、その暴走を止める両方の基盤を整備してゆくべきである、とエクマン氏は指摘する。
英語の原文: "Two sides of the same coin"
http://www.glocom.org/debates/20040513_ekman_two/
 
Debates:
 
「日英両国の首相を巡る状況の違い」
ショーン・カーティン  (GLOCOMフェロー)
  
    カーティン氏は、英国在住という地の利を生かして、小泉首相と英国のブレア首相との立場の違いについて解説を試みている。日英何れの政府も米国の対イラク政策に協力する形で軍/自衛隊を現地に送ったが、英国軍が戦闘活動で彼我双方に犠牲者が出、あげく捕虜虐待スキャンダルまで持ち上がって居るのに対し、自衛隊はひたすら復興活動に専念しているため、日本国内の反対運動が盛り上がらず、却って小泉首相の人気を高めていることに注目する。日本では七月に参院選、英国では六月に地方選挙と欧州選挙が控えているなかで、日本では民主党の不手際もあり小泉首相の人気が高まる一方、ブレア首相の支持率は野党の後塵を拝している。党内指導者争いでも、小泉氏の対抗馬が自民党内で見当たらないのに対し、ブレア氏は党内から激しい突き上げを食らっている。
   そして、いずれもイラクに部隊を派遣しながら、伝統的な軍隊を有する英国の首相が落ち目となり、戦争を放棄したとする国の指導者の人気が高まっていることの皮肉についてカーティン氏は言及している。
英語の原文: "Tale of two allies, Koizumi and Blair"
http://www.glocom.org/debates/20040514_curtin_tale/
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