クラーク氏は、ブッシュ大統領がしばしば「イラクに民主主義を」と唱えるのを捉え、そもそも民主主義とは一体何か、と問いかける。名著と言われるF.フクヤマの「歴史の終局(The End of History)」では、欧米型民主主義が究極の理想的政治形態とされた。日米欧の近代化をもたらしたのは、これらの地域では、属人的封建制が敷かれていたことにより、社会契約を進化させ民主的な政府構築の基礎と為し、共同作業が支える職場を工業化の基盤にすることが出来たからである。一方、アジア、中南米、そして中東では、強い宗教的絆という異なる価値観が、所謂近代化を遅らせた。しかし例えば、イラクでの囚人虐待にみられるように、理想にも綻びが見られはじめている。欧米型民主主義は「終局」などでは無く、単なる中間点ではないのか、という疑問をクラーク氏は提起する。
英語の原文: "Iraq and the end of history"
http://www.glocom.org/debates/20040526_clark_iraq/