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注目記事 (2004/5/31)

Opinions:
 
「日本に自由貿易政策は存在するか」
石山嘉英 (千葉商科大学教授)
  
   石山氏は、日本には一貫した自由貿易政策は存在しないのではないかと言う。シンガポールと2002年に締結した協定は基本的に鉱工業製品のみを対象にしたし、今年中に調印される見込みであるメキシコとの協定の実態は、日本からの自動車無税輸出枠拡大の見返りに、メキシコからの農産物の低関税輸入枠を広げる、というものに過ぎない。つまり、日本のこれまでの対応は、いわば行き当たりばったりであった。ただし、実は、欧米が続々と締結しているFTAにおいても、その殆どはGATT/WTOが標榜する自由貿易の精神から逸脱しており、であればこそ、日本が、自由貿易の精神に基づく一貫した貿易政策を提示し実践することが大事である。なかでも、東アジアにおいて、日本・中国・韓国・ASEANを縫合する自由貿易地域を創設することは、日本はもとより、参加各国の発展に大きく寄与することとなる、と石山氏は主張する。
英語の原文: "Japan's FTA Policy...Does It Exist?"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040531_ishiyama_japan/
 
Debates:
 
「自分の情報をコントロールする」 
上村圭介 (GLOCOM主任研究員)
  
   上村氏は、昨今頻発が伝えられる個人情報漏洩に関し、情報管理の適正化もさることながら、そもそも過度の個人情報を授受しがちな社会の慣行について見直しを提起する。携帯電話の申し込みや、金融機関との取引開始等、本人確認が求められる場面で、本人確認以上の、例えば免許証のコピーの授受が行われている。一方で、例えば多くの人々は、個人の連絡用とは別に、公開用のメールアドレスを利用している。これなどは、いわば生活の知恵として、過剰な個人情報が人手に渡らないように工夫している表れではないか。個人情報保護に関しては、一旦人手に渡った情報の管理の適正化を図ることとともに、そもそも余計な情報はやりとりしない、という方向でも議論・検討が行われる必要がある、と上村氏は指摘する。
英語の原文: "Controlling your personal information"
http://www.glocom.org/debates/20040528_kamimura_control/
 
Debates:
 
「イラクと『歴史の終局』」 
グレゴリー・クラーク (国際教養大学副学長)
  
   クラーク氏は、ブッシュ大統領がしばしば「イラクに民主主義を」と唱えるのを捉え、そもそも民主主義とは一体何か、と問いかける。名著と言われるF.フクヤマの「歴史の終局(The End of History)」では、欧米型民主主義が究極の理想的政治形態とされた。日米欧の近代化をもたらしたのは、これらの地域では、属人的封建制が敷かれていたことにより、社会契約を進化させ民主的な政府構築の基礎と為し、共同作業が支える職場を工業化の基盤にすることが出来たからである。一方、アジア、中南米、そして中東では、強い宗教的絆という異なる価値観が、所謂近代化を遅らせた。しかし例えば、イラクでの囚人虐待にみられるように、理想にも綻びが見られはじめている。欧米型民主主義は「終局」などでは無く、単なる中間点ではないのか、という疑問をクラーク氏は提起する。
英語の原文: "Iraq and the end of history"
http://www.glocom.org/debates/20040526_clark_iraq/
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