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注目記事 (2004/6/7)

Debates:
 
「日本の思想的鎖国に対する警告」
北岡和義 (JATV社長)
  
   最近の日本では、「日本は日本人だけでうまくやっているのだから問題はない」という思想的鎖国の態度が強まっているように見える。グローバル化した世界でこれは通用せず、国際的なテロなどに対する精神的な準備ができていないことを意味する。緊張感がなく、イラクの人質問題などが起こると人質に対して厳しく当たるといった態度がみられるようになっている。
   米国などと比較して日本の弱点を理解し、それに対して何かしようとする人間があまりに少なく、むしろ弱点を正当化しようとする傾向が強い。石原東京都知事がその一例で、彼が都知事になって最初にやった仕事の一つが米国にある都の事務所を全て閉鎖したことである。これは人間の交流がさらに重要になる国際化の流れに逆行するものである。彼はさらに外国や外国人に対して超国家主義的な態度をとるなど新しい時代のビジョンや配慮に欠けている。
   問題はトップにかぎらず日本の若者全般にもいえる。日本の多くの若者には社会的な出来事について広い背景や深い意味を理解する能力が欠けており、非常に内向きになっている。それはやはり内向きなマスコミに依存してニュースを受け入れるだけだからである。また日本の教育システムもこのような若者を教育する体制になっていない。この点で、先日ロスで講演された岩城USC教授のご意見(http://www.glocom.org/special_topics/
activity_rep/20040528_miyao_los/
)に賛同するとともに、日本の思想的鎖国を打ち破るためによりよい教育システムが必要であることを痛感するものである。
英語の原文: "Warning: Japan's Ideological Seclusion"
http://www.glocom.org/debates/20040607_kitaoka_warning/
 
Special Topics:
 
「アジアはイラク問題に耐えられるか」 
サイモン・テイ (シンガポール国際問題研究所所長)
  
   テイ氏は、混迷を深めるイラク問題について、アジア各国は基本的に米国を支持するというこれまでの立場を維持することが出来るかという問題を提起する。そもそもアジア各国は、説得と圧力によって、米国を基本的に支持して来たが、ここへ来て異論が出始めつつある。韓国では実際に派兵見直しが行われているし、日本でも人質問題を機に自衛隊の派遣反対が盛り上がった。
   米国は従来アジアに対しては二国間関係で対応して来たが、若干修正した方が良い。例えばタイやマレーシアの場合、自国内の不安定な地域や反米感情を緩和しつつ国際平和構築への関与を促すには、米国一国よりは国連を通じた関係を利用するほうが生産的である、とテイ氏は提言する。
英語の原文: "Will Asians Endure Iraq?"
http://www.glocom.org/special_topics/asia_rep/20040604_asia_s67/
 
Debates:
 
「石原東京都知事への提言」 
ダン・ドーラン (明海大学助教授)
  
   ドーラン氏は、石原東京都知事への手紙の形をとって、先に東京都教育委員会が、都立学校の卒業式で、君が代斉唱の際に起立しなかった教員約百八十人の処分を決めたことに対し、憲法違反の疑いがあると主張している。教育を受けるということは、あらゆる事象について質問し議論を行い得る場が提供されるということであるが、例えば、煙草を吸う上でのマナーを守るということが、煙草を止める、ということより重要であるのか、或いは、一部政治活動家が拡声器で騒音を発しても、それが、思想の表現として許されることなのか、等の一環として、式典での起立についても、特に教育の場では忌憚なく議論を行うべきである。
   文学で身を立てた石原氏であれば、思想信条と表現の自由の重要さは痛感して居るはずであろう、とドーラン氏は指摘する。
英語の原文: "Letter to Governor Ishihara: 'Leadership Please'"
http://www.glocom.org/debates/20040601_dolan_letter/
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