最近の日本では、「日本は日本人だけでうまくやっているのだから問題はない」という思想的鎖国の態度が強まっているように見える。グローバル化した世界でこれは通用せず、国際的なテロなどに対する精神的な準備ができていないことを意味する。緊張感がなく、イラクの人質問題などが起こると人質に対して厳しく当たるといった態度がみられるようになっている。
米国などと比較して日本の弱点を理解し、それに対して何かしようとする人間があまりに少なく、むしろ弱点を正当化しようとする傾向が強い。石原東京都知事がその一例で、彼が都知事になって最初にやった仕事の一つが米国にある都の事務所を全て閉鎖したことである。これは人間の交流がさらに重要になる国際化の流れに逆行するものである。彼はさらに外国や外国人に対して超国家主義的な態度をとるなど新しい時代のビジョンや配慮に欠けている。
問題はトップにかぎらず日本の若者全般にもいえる。日本の多くの若者には社会的な出来事について広い背景や深い意味を理解する能力が欠けており、非常に内向きになっている。それはやはり内向きなマスコミに依存してニュースを受け入れるだけだからである。また日本の教育システムもこのような若者を教育する体制になっていない。この点で、先日ロスで講演された岩城USC教授のご意見(
http://www.glocom.org/special_topics/
activity_rep/20040528_miyao_los/)に賛同するとともに、日本の思想的鎖国を打ち破るためによりよい教育システムが必要であることを痛感するものである。
英語の原文: "Warning: Japan's Ideological Seclusion"
http://www.glocom.org/debates/20040607_kitaoka_warning/