第二次世界大戦後、日本の経済復興を支えたのは、政官財の緊密な連携、労使協調・効率重視型の経営モデル、そして How to を徹底する教育からなる緊密なシステムであったが、今やこれは様々な歪を生む原因となっており、日本には、新しい国の形が求められている、と小林氏は指摘する。
国内的には、まず家庭の社会的安定機能や親子教育を見直すべきであるが、このためには、企業の社会的責任(CSR)の一環として、ワーク・ライフ・バランス経営を行う必要がある。次に、政官財が国の意思決定を行うという仕組みを変更し、地方分権を実施し、NPOにも「公」を担ってもらうべきで、これが市民社会(シビル・ソサエティ)の重要な側面となる。そして、教育面では、従来の How to 教育を見直し、主体的に考えることができる若者を育てる必要がある。
国際的観点からは、以前の冷戦下には米国の忠実なパートナーをつとめることが日本自身と周辺地域の安定に貢献したが、21世紀の重要な二国間関係は米中関係となることは間違いないことを踏まえ、その中で、どのような日米及び日中関係を形成して行くべきか、EUの例も参考にしつつ、政官財に民を加えて検討すべきである。
これらの変化は実は既に発生しつつある。今後は、個々の変化の兆しを一時的な流行に終わらせず、それぞれの定着を図るとともに、大きなシステム全体の変革につなげていくことが必要である。
英語の原文: "A New Profile for Japan"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040621_kobayashi_new/