猪口氏は、日米関係が、80年代の中曽根・レーガン、そして今のブッシュ・小泉という個人レベレのつながりによりいかに密度の高い関係となったか、そしてその結果、日本が世界に与える影響について変化して来たのかを分析する。
昔から、国際政治において「特別な関係」というのは、米英関係を指した。しかし、レーガン大統領そして当時のマンスフィールド駐日大使が日米関係の緊密さを強調し、少なくとも、日本から見れば、米国の主要なパートナーに引き上げられたように見えた。事実、中曽根首相とレーガン大統領の親密さは、軍事・政治・経済のあらゆる面で同胞(ときに良きライバル)として機能した。ただし、その結果、日本は80年代半ばの米国の戦略防衛構想に付きあわされ、1985年のプラザ合意では、米国経済の再生に協力させられ、バブルと崩壊、そしてその後最近に至る迄の不況の種を撒くことになった。
2003年に米国はイラク戦争の勝利を宣言したが、復興資金の主たる負担者は、米国と日本である。今年、日本はイラク復興会議の主宰まで申し出た。今後、援助が急激に拡大して行く可能性がある。急増する財政赤字を背景に、この面からは、プラザ合意前後の日本に似て居ることが懸念されるが、一方、ブッシュ大統領による小泉総理の歓待は、当時のレーガン・中曽根関係を彷彿とさせる。
緊密な日米関係には、長所も短所もある。しかし、日本の進路は常に国内で吟味し議論して行かなければならず、その結果は世界の安全と平和の帰趨に影響する。
英語の原文: "America and Japan: the political is personal"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040628_inoguchi_america/