両氏は、最近知的資産の重要性が高まっているが、その活用のためには適切な評価手法の開発が必要であり、そのためには、現在始まりつつある国際的な議論の場に、日本として政府のみならず、民間からの参加も必要であるという。
知的資産とは、知的財産権より広い概念で、人材・組織プログラム・ブランド・リーダーシップ・顧客やサプライヤーとの関係にまで及ぶが、この重要性が注目されるようになったのは、従来のように、金融資産や設備を持つだけでは競争力が維持できなくなったという背景がある。
実証的にも、従来の、資本・労働・R&Dの三要素では企業の業績が説明できなくなっており、むしろ、企業の組織プロセスや人材への投資という、知的資産に属する分野との相関が高くなりつつあることが示された。しかし、有形資産とは異なり、知的資産は定量的な把握が簡単ではなく、新たな評価手法の開発が必須である。最近話題となってきた企業の社会的責任(CSR)そしてそれを主たる指標とする社会的責任投資(SRI)にとっても、知的資産の評価は必要になってきている。
こうして、OECDを中心に、知的資産の評価、その結果を含む企業の情報開示のあり方、そして、知的資産に関連する政策課題の提示に関する国際的枠組みで検討されることになった。日本としても、知的資産の維持充実のため、自らの経験を携えてこのような取り組みに官民ともに積極的に参加して行くべきである。
英語の原文: "Assessment and Disclosure of Intellectual Assets Needed"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040705_okunishi_assess/