石塚氏は、日本の会社が漸く古い慣行を捨て、株主の意向を重視する経営の動きが出て来たと指摘する。
1990年代の「失われた十年」は企業にとって必死に生き残りを賭けた時期であったが、この間、各企業ではそれ以前では不可能であったような大きな変革が実施されてきた。
以前は、大企業の株主は、株の持ち合いを通じ、互いに「沈黙の株主」として会社経営に対する発言を互いに控えることが暗黙の了解となっていた。株式投資というのは、高度成長を背景として短期の値上がりを狙ったものであり、本来の意味での一般投資家は、経営に対する発言も事実上許されず、不当に低い配当を宛がわれ蔑ろにされて居た。
しかし、厳しい経営環境を背景に、低収益の投資を控えるという形で持ち合いが減少し、或いは海外からの投資家が妥当な配当を要求する、という形で企業経営の責任を問う声が生まれ、経営者も漸く株主の声に耳を傾けるようになってきた。
英語の原文: "Hark, the call of the shareholder"
http://www.glocom.org/debates/20040707_ishizuka_hark/