佐藤氏は、マラッカ海峡の航行安全に関する関係国の立場を分析し、日本が関わることが出来る範囲について考察する。
世界の通商路であり日本のエネルギーの生命線ともいうべきマラッカ海峡の安全確保については、シンガポールは、例えば米・日の協力を得るべきであると提案する一方、マレーシア・インドネシア両国は自国領海内の問題であるとし、外国の関わりを拒否している。更に、そもそも独立性・排他性を志向してきたアセアンとしては、域外の勢力を迎え入れることに抵抗がある。
しかし、同海峡の安全が地域の繁栄に寄与することは各国とも認識しており、関係国の本音はそれほど異なってはいない。要は地域の独自性を失うことなく、米国、日本、中国、インド、そして韓国という、域外の国々からどのような支持援助を得て安全を確保して行くかという模索の過程である。このような微妙な情勢の中で、日米両国は、自ら現地に進出することは回避し、関係国への援助を通じ、海峡の安全に寄与することが得策である。
英語の原文: "U.S. and Japan in the Malacca Strait: Lending Hands, Not Stepping In"
http://www.glocom.org/debates/20040713_sato_us/