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注目記事 (2004/8/2)

Opinions:
 
「インフレ『参照値』より『ターゲット』を示せ」
 岩田規久男 (学習院大学教授)
  
   岩田氏は、景気が順調に回復する中、金融政策において、現行の量的緩和からの「出口政策」が重要であると主張する。
   日銀は、現状の量的緩和政策を解除する条件として、概ね、消費者物価上昇率がマイナスに振れる危険が去ったとき、という趣旨の説明をしているが、これでは、現政策解除後にどのような金融政策が何を目標として運営されるのかの予想がつかない点で不安定である。
   これに対し、一部の日銀審議委員は、出口政策として「インフレ参照値」を提唱している。しかし、参照値というのは、当局が好ましいと思う数字の表明ではあるが、政策との関係が曖昧である以上、これでは金融政策自体が明らかになったとは言えない。
   政策の表明として重要なのは、日銀自らが「インフレターゲット」を公表すること、即ちインフレ率の目標値を公表し、これの実現を図ることを目的として金融政策を運営する、というコミットメントである。また、タイミングについては、量的緩和解除後に急に政策の枠組みを変えることは好ましくないことから、日銀は、今から「インフレターゲット」を公表し、その達成にコミットすべきである。
英語の原文: "Inflation Target Needed, Not a Reference Rate"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040802_iwata_inflation/
 
Debates:
 
「第九条を真剣に再検討すべき時が来た」
 ウェストン・コニシ (マンスフィールド財団主任研究員)
  
   コニシ氏は、伝えられるところの先のリ米政府高官の発言を捉え、憲法第九条に関して真剣に検討を要する時が来た、と指摘する。
   報道によれば、先日訪米した中川衆議院議員に対し、アーミテージ副長官が、憲法第九条は日米同盟の障害になっていると語ったと言う。これに対し、日本政府からは、もし事実であれば遺憾との表明がある一方、米政府からは、同副長官の発言は一部誤解された、と説明があり、一応解決した形となった。
   しかし、良く考えて見れば、非常事態発生時に、肩を並べて対処することが出来ないパートナーと言うのは、真の同盟者と言えるであろうか。また、国連の安保理事国になるのであれば、戦闘という事態の想定を避けては通れない。
   最近ようやく一部の論議が始まったものの、日本はこれまで、自縄自縛に陥り、憲法九条を正面から議論することを避けて来た。しかし、今後は、日本自身の事情だけでは無く、日本はどうすれば世界に貢献できるか、という視点から、憲法九条の議論を真剣に検討を行う必要がある。
英語の原文: "Time to Take Hard Look at Article 9"
http://www.glocom.org/debates/20040729_konishi_time/
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