猪口氏は、東アジア地域の国際秩序は今も昔も的確に把握するのが容易ではないと指摘し、これは、この地域が非常に複雑且つ豊かな歴史を持っているからであると述べる。この点を説明するために、東アジア地域の秩序を巡る四つの議論を紹介する。
四つの議論とは;中国による支配かあるいは各国勢力が拮抗する体制か;公式な枠組みや制度に基づく秩序かそれとも非公式な緩い関係か;中国を競争相手と見なすか協調する仲間と見なすか;そして、米国の一国主義に同調するか距離を置くか、である。
これらの議論をそれぞれ検討してみると、どのような説であっても、一つの主義に基づいた理論では何れも現実を説明するのは困難であることが分かる、東アジア地域を把握するための視点は、特定の思想に拘泥することなく、事実に照らして進化発展させることが重要である。
英語の原文: "Rethinking the International Order in East Asia: Neither War Nor Peace"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040809_inoguchi_rethink/