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注目記事 (2004/8/23)

Debates:
 
「野蛮な日本の入国管理政策」
 グレゴリー・クラーク (国際教養大学副学長)
  
   クラーク氏は、日本で最近厳しく摘発が行われるようになった不法滞在外国人対策について疑問を提起する。
   日本の当局は、急増しつつある外国人の犯罪を理由に挙げ、また、確かに国内での外国人犯罪は問題である。しかし、偽造を含むあらゆる犯罪を効果的に実施するような外国人が、期限の切れた純正パスポートを持ち歩くなどというヘマを冒すだろうか。多くの「不法」滞在者は、日本に事実上定住し、日本の若者が嫌うような仕事で社会を支えている人達である。これらの人々は、些細なことから不法滞在が露見するのを恐れ、一般の法律には厳しく従って居り、全体としては寧ろ日本のためになっている。
   日本でも、不法滞在と外国人犯罪の間にはあまり相関関係が無いと指摘する人もいるが、当局は、不法滞在も犯罪であり、他の犯罪と同じように扱うべきであると主張している。一方、法を破る者に対して非常に厳しいと言われる米国でも、一千万人規模の不法入国者に恩赦を与えているのは、彼らが米国経済に寄与していることと、強制退去に伴う悲惨さを米当局が理解しているからである。
   不法滞在者の摘発強化は、日本のあちこちで小さな町工場を破産に追い込み、摘発を受けた者は、バングラデシュやフィリピンに居る家族ともども飢えに苦しむことになる。一方で、一部の南米国籍の人達は、偶々日本人が祖先に居ると言う理由で滞在を許可されて居るが、彼らの多くは実は日本人社会には溶け込まず、将来への懸念を増幅させている。この政策を推奨した人達は、彼ら自身が侮蔑するオーストラリアの「白豪主義」と同様に、人種が同じなら問題は生じない、という誤った思想に嵌っている。
   オーストラリアはその後常識を回復し、今では、教育や語学力を評価する点数制を、移民の基準に採用している。日本はオーストラリアより遥かにきちんとした移民政策を必要とする状況にあるにも関わらず、「不法滞在者」の摘発という見当違いの分野に国の政策を傾注してしまっている。
英語の原文: "Barbaric Immigration Policy"
http://www.glocom.org/debates/20040823_clark_barbaric/
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