両氏は、アジア欧州会合(ASEM)が必ずしも大きな注目を浴びないのは、様々な要素を織り込みすぎて焦点が曖昧になったからであり、今後は、機能と目的を明確にすべきであり、それには、ASEMがアジア・欧州という異なる背景を有するということを生かし、新たな思想・哲学・文化等を生む議論の場として活用すべきであるという。
アジアの地域連合であるAPECが非常に上手く機能している理由の一つには、それが、経済に特化しているということが挙げられる。一方、ASEMは、経済・政治・社会の三本柱で成り立っているということになっている。しかしこれが逆に焦点をぼかし、ASEMの価値を殺いでいる。
まず、三本柱のうち、経済は廃止すべきである。既に他の場が幾つかあるし、地域・二国間協定が全盛の中ではASEMの出番は少ない。また、政治の柱も無くすべきである。それにより、香港・台湾といった地域が、メンバーとして参画することが出来るようになる。そしてASEMを各国・地域のリーダー達によって共通の利益・繁栄・人権・民主主義・社会開発などのテーマを議論する場とすることにより、歴史的に西欧に偏っていたこれらに関する思想とは異なる、新たな考え方が芽生えることを期待したい。
英語の原文: "ASEM: Timely Dialogue Across Civilisations"
http://www.glocom.org/debates/20041008_engammare_asem/