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注目記事 (2004/10/18)

Opinions:
 
「統一化と多様化:二つの流れの葛藤」
 行天豊雄 (国際通貨研究所理事長)
  
   行天氏は、世界の流れには統一化と多様化という、一見反対方向の動きがあるが、これらは必ずしも対立するものではなく、うまく管理することによって共存させて行くべきであると提言する。
   グローバル化というのは、市場原理の広がりをはじめ、情報化社会の進展により、世界の慣行・制度・そして考え方までも統一して行く流れであった。しかもそれは実態上、米国化ということであった。しかし、一皮剥けば、従来の多様性が顔を出す。例えば、コーポレート・ガバナンスについては、絶対権力を持つ株主という米国流の思想に与しない勢力が各地に存在する。また、民主主義や人権といった、西欧社会では明白と思われた概念にも、広がりがあるらしいことが分かって来た。
   また、グローバル化は、人々をある特定の思想の下に統一する流れという要素を含むが、諸般の事情から完全に統一することは困難であり、これに従わない人々が、強制された、或いは従わないことによる不利益を蒙った、という受け止め方をした場合、憎悪と復讐の念が芽生えることになる。
   統一化と多様化の二つの葛藤が解消することはない。出来るのは上手く共存させることである。このためには、まず、多様化を建設的にとらえ、新たな統一に向けての発展に結びつける努力をすること、そしてもうひとつは、多様性を認めた上で、自由な議論を交換することにより、暴力的な対立に発展しないように努めることである。
英語の原文: "Convergence or Divergence"
http://www.glocom.org/opinions/essays/
20041018_gyohten_convergence/
Debates:
 
「日中関係:日本人の考え方を変えることが唯一の解決策」
 グレゴリー・クラーク (国際教養大学副学長)
  
   クラーク氏は、日中関係の緊張がまた増しているとして、唯一の解決方法は、日本人が考え方を根本的に改めることだと主張する。
   中国人の日本に対する嫌悪は、以前は敵視政策の一環として政府の主導によるところがあったかも知れないが、現在の憎悪は歴史を知る知識人を背景にしており、本物である。日本はすでに条約上謝罪しているという意見があるが、当時実際に中国で悪事を働いた連中が戦後日本で大いに羽振りを利かせたことなど、日本としての反省はみられていない。ドイツのようにナチスに罪を負わせて国民総懺悔をするということが日本では困難な事情は分かるが、諸々の悪行が、原爆を落とされたからといって帳消しになるものではない。
   外務省では今、中国経験者が疎んぜられているというが、これは、あたかも1950年代の米国のマッカーシー時代に似ている。首相が靖国神社に詣でるような状況では事態の改善は望めず、日中関係の改善には、日本人は考え方を根本的に変える必要がある。
英語の原文: "New Mindset is the Only Salve"
http://www.glocom.org/debates/20041013_clark_new/
Debates:
 
「ケリーを支持する北朝鮮:でも思い通りにはならない」
 L・ゴードン・フレーク (マンスフィールド財団理事)
  
   ブッシュ/ケリーの北朝鮮に関する政策が、恰も、多国間交渉対二国間交渉という形で単純化されてしまったことにより、北朝鮮はケリーを支持するやの論調が見られるが、フレーク氏は、そう北朝鮮の思惑通りにはならないであろうと指摘する。
   ブッシュ政策は、北朝鮮を悪の枢軸、金正日を独裁者と呼び、米国の要求に応じるか否かという強い姿勢で臨み、進展が無い場合は無視する戦術を採っている。このうち、米国としての基本的な立場は、もしケリーに代わったとして、変更しようが無い。9.11以降安全保障に極めて敏感になった米国社会を背景とすれば、もし二国間協議に応じるとしても、実態上は現政権が要求している、「完全、検証可能、不可逆的な核放棄」を要求せざるを得ない。
   寧ろ問題は、その場で北朝鮮が「ノー」と言った場合であって、ブッシュのように、北朝鮮を無視するという戦術を改めて採る訳には行かなくなったケリーにとっては、政策選択の余地はむしろ狭まってしまう結果、北朝鮮の期待する方向に進まない可能性がある。
英語の原文: "North Koreans for Kerry: Be Careful What You Wish For"
http://www.glocom.org/debates/20041013_flake_north/
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