岩田氏は、漸く底を打った感がある日本経済の回復を持続させるためには、リフレ政策が必要であり、日銀がインフレ目標値を公表しそれにコミットすることが望ましいと主張する。
10年以上も続いた日本経済停滞の原因に関しては様々な議論が行われてきたが、大きく「構造説派」と「金融政策デフレ説派」に分けられる。このうち、前者については、更に元凶を銀行の貸し出し姿勢或いは不良債権に求める場合に分けられるが、何れにせよこれらの議論では、現在の回復過程を説明することが出来ない。
一方、「金融政策デフレ説」は、予想実質金利が完全雇用を実現する水準まで低下することが、持続的・安定的な成長に必要、つまり金利の低下または物価の上昇が要請されるとするものであるが、最近の物価連動国債の動きを分析すると、人々のデフレ予想が後退していることが窺われる。この原因には、日銀が、デフレ予想からの脱却にコミットし始めたことが挙げられるが、更にインフレ期待を形成し、経済の回復を促すためには、日銀としては、2−3%のインフレ目標を設定し、それにコミットすることが必要である。
英語の原文: "Reflation Necessary for Sustained Economic Recovery"
http://www.glocom.org/opinions/essays/
20041101_iwata_reflation/