各国の間での、そして途上国内での所謂デジタル・デバイドの問題については、2000年の九州・沖縄G8サミットで採り上げられ、2002年のカナナスキスサミットでその解消へ向けての提案の最終報告が行われることになっていた。しかし、結局その場ではまとめきれず、国連にバトン・タッチされたが、その後は雲散霧消してしまった。また、ITUが中心となって2003年12月スイスで世界情報サミットが開催され、ここでもデジタル・デバイド解消のための行動計画が採択宣言されているが、実効的施策には結びついていない。
このように、この問題は、認識はされつつも国際的協調にはこれまで成功していない。そして日本もこの問題に積極的に関わる意思は表明しているものの、日本のODAの仕組みがこのようなテーマを採り上げるに適していない等、実務的な理由もあり、あまり機能していない。
途上国をも巻き込んだデジタル・デバイド解消策には、技術面でいえば、各国や文化で様々に異なる多様な文字を取り扱うことが可能なIT技術、しかもオペレーティング・システムレベルでの対応が必要である。また、当該国で自主的にインターネット社会をつくる気構えをもった人材の育成が肝要である。
カナダや韓国では、特別のプログラムを作成して途上国のデジタル・デバイド解消に貢献している。日本でも、各地域特有の特徴に則した政策運営を、政府、企業、大学、NPOなどの総力を上げて行うべきである。特にアジアでは、物量面での交易は欧米を上回るっているものの、情報流通量では欧米間よりもかなり劣っている状況から早く脱却すべきであり、このことがアジア経済圏を確立することにもなる。
英語の原文: "International Support for Dissolving Digital Divide"
http://www.glocom.org/opinions/essays/
20041213_suzuki_international/