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注目記事 (2005/2/7)

Opinions:
 
「戦争無き世界への貢献」
 猪口邦子 (上智大学教授)
  
   国連安全保障理事会は、国際社会に代わって侵略を防ぎ、或いは停止させる責任がある。従って、理事会の改革を検討するに際しては、常にこの点に留意する必要がある。日本が常任理事国就任を望むのであれば、日本としては安全保障理事会に対し、戦争を抑止するという目的遂行の上でどのような価値のある貢献が出来るかを示さなければならない。これには幾つかのアプローチがある。
   先ず、日本としての「平和」という概念の浸透を図ることである。これは、21世紀の世界でテロや繰り返される紛争を防ぐ最善の方法は、軍備縮小と不拡散の徹底にあるという考え方である。次に、紛争後の体制構築に際しては、当事国の関係者全てを抱合することの重要性を強調することである。これは、紛争解決に際しては、その過程を重視するという手法を安全保障理事会としては基本に据えるべきであると主張である。
   小泉総理は昨年九月の国連総会で、新たに日本が安全保障理事会の常任理事国に就任する所信を述べ、その実現に向けて努力すると表明した。しかし日本としてはこれから明らかにして行かなければならない項目がある。
   第一に、日本は、国連改革を全体として総合的な観点から検討すべく議論を指導して行く必要がある。第二に、日本は、国連が小国や戦災国に焦点をあてた前向きな改革が行われるように貢献すべきである。第三に、テロや侵略に対する米国の懸念を理解し配慮しなければならない。第四に、欧州連合が現在の国際政治に大きな存在となりつつあることに留意する必要がある。そして最後に、集中力と敏捷性を必要とする多国間外交の中で、全体の状況が刻々変化することに対応した柔軟な外交を実践して行く必要がある。

英語の原文: "How Japan Can Help Build a World Without War"
http://www.glocom.org//opinions/essays/
20050207_inoguchik_how/
Debates:
 
「方向を見失った『戦後以後』の日本」
 石塚雅彦  (フォーリン・プレスセンター評議員)
  
   日本で「戦後」と言えば第二次世界大戦後を指すが、以来既に60年、言わば還暦を迎えて、そろそろ「戦後」という概念で物事を捉える慣習から脱却すべきである。
   この60年、日本はあらゆる面で米国との緊密な関係の下に世界第二の経済規模を謳歌するに至ったが、米国との関係が近過ぎるが故に、新たな枠組みを構想するのが困難になって来ている。ブッシュ大統領の強引な国際戦略に巻き込まれるのを警戒しつつも有効な代案が見出せないことや、米国から押し付けられたことを故としての憲法改正論議も、このような状況が背景にある。
   国内的には、自民党の長期政権は既得権益と複雑に絡まり合って身動きが取れなくなって居り、少子高齢化を前にしてこれまで積み上げた繁栄の行方が懸念され、人々の間に悲観的なムードが広がっている。このような雰囲気の中で台頭しつつあるのが、内向きの思考であり、愛国心やナショナリズムを鼓舞する論調によって、日本を世界に向けて開くことにより活路を見出すと言う視点が遮られてしまっている。「戦後以後」の新たな日本の出発に際し、寧ろ新たな「国際主義」を勇気をもって構想することが必要である。

英語の原文: "Feeling Lost in 'Post-postwar' Era"
http://www.glocom.org/debates/20050202_ishizuka_feeling/
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