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注目記事 (2005/3/7)

Debates:
 
「中国の『反国家分裂法』:周りは何を騒いで居るのか」
 ラルフ・コッサ (CSISパシフィック・フォーラム会長)
  
    現在開催中の中国の全人代で、台湾独立を阻止するために成立されると言われる「反国家分裂法」については、内容の詳細が分からないうちに騒ぐのは気をつけた方が良い。
   今回の「反国家分裂法」は、昨年3月、台湾の陳総統が独立を掲げて再選されたことに危機感を覚えた北京政府が本格的に具体化の検討を始めたものである。その後12月の議会選挙では、台湾の人々はより穏健な路線を求めていることが判明し、その後陳総統も独立の矛先を一応収めた形になっているが、その頃には、北京での「法」制定の動きは既に後戻りできない状況になっていた。
   このときを選んで中国がそのような法律(とは言ってもどのようなものであるか実は未だ分からないのだが)を成立させるということは、台湾の陳総統が米国に対し自らが有利になるよう働きかける切っ掛けを与えてしまうという意見がある一方で、新法は従来からの北京政府の主張を文書化しただけで実際的な中身は何も無く、事前の議論は空騒ぎに終わるという見方も出ている。
   しかし法の内容がどうあれ、法を成立させる、という行為を行うのは北京政府であり、国際政治の駆け引きの観点からは、今度は「ボールは陳総統の手中にある」ことになる。既に台湾では新法に対抗して新たな国民投票を行う動きも出始めていると聞く。
   現状では、米国をはじめとする関係国としては、実際に「反国家分裂法」の内容詳細が明らかになるまで、憶測に基づいたコメントや行動は控えることが、寧ろ地域の安全と安定に寄与する。
英語の原文: "China's Anti-Secession Law: Much Ado About Something?"
http://www.glocom.org/debates/20050304_cossa_china/
Debates:
 
「台湾海峡の安定に向けて」
 アラン D. ロンバーグ (ディレクター、東アジアプログラム、ヘンリー・スティムソンセンター)
  
   イスラエルの著名な外交官であり評論家、アバ・エバンがパレスチナ問題について皮肉った表現に「(当事者は)好機を逸する機会は必ずモノにする」という言葉があるが、今の北京・台北関係はまさにそのように見える。
   今回の全人代で成立するとされている「反国家分裂法」は90年台から検討が行われているものではあるが、いまこのような法律を制定することは、台湾で現在起こりつつある政治的変化の動きと全くずれている。台湾の陳総統が、米国の強い意向と、そして自らの選挙民の選択によって、当初より穏健な路線を採用しつつある今、内容の程度に関わらず、そのような法律を制定するということ自体が、海峡の何れの側の強硬派にも力を与えてしまう。
   今こそ、北京・台北何れの指導者にも責任ある冷静な対応が期待されているのであり、それが、両方の民衆を幸せにし、米国との良好な関係を築く道である。
英語の原文: "Promoting Cross-Strait Stability, Avoiding Catastrophe"
http://www.glocom.org/debates/20050303_romberg_promoting/
Debates:
 
「日・米 vs 中国:2対1」
 フランク・チン (評論家、香港在住)
  
   日米の関係閣僚から成る「安全保障協議委員会」の、2月19日付共同発表は、日中関係を更に悪化させる懸念がある。
   「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す」という表現が入れられたこの発表は直ちに中国の反発を呼び、内政干渉であると強く日米両国を非難した。中国にとっては、1997年の日米防衛ガイドラインに「日本の周辺地域」が盛り込まれて以来の不快な事態となった。中国としては、日本がアジアでの米国の尖兵に − それは丁度英国が欧州でそうであるように − なることを懸念している。北京の専門家は、日米安保条約が、その焦点を、日本の防衛から、アジア太平洋地域の安全保障へ変化させてきていると指摘している。
   今回の発表が北朝鮮の核開発問題にどのような影響を与えるかは不明だが、日米にとって大きな脅威である北朝鮮問題に関し、中国としては解決への支援を継続する熱意を失うことは確かだろう。
英語の原文: "Japan/U.S. vs China: Two against one"
http://www.glocom.org/debates/20050302_ching_japan/
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