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注目記事 (2005/3/14)

Opinions:
 
「温室効果ガスの削減は税制の利用を中心に」
 佐和隆光 (京都大学教授)
  
   先に発効した京都議定書に従えば、日本は、2008-2012の間の温室効果ガスの排出を、1990年のそれより6%低下させなければならない。この達成には、自発的な努力・規制・経済措置等の施策が考えられるが、日本は市場経済に依拠する国であることから、最も相応しい手法は、規制で補完された経済措置である。
   日本の二酸化炭素排出は、1996年までの10年間、年率2.8%で増加した後一旦平準化したが、その後また急増に転じている。これは、どうやら日本のエネルギー消費構造が変化し、家庭でのエネルギー消費が増加したことによる。ITの発達がエネルギー消費に及ぼす影響等も含め、具体的な施策策定にはより詳細な分析と予測が必要である。
   日本が負う削減義務は、適正な対策を素早く実施することにより可能である。議定書に定められた、途上国への投資による「クリーン開発メカニズム」を利用することが肝要である。この仕組みと国内の様々な措置で目標を達成するよう努めるべきである。
   これらの施策で上手く行かない場合には、「排出量取引」規定に基づき、外国…具体的にはロシア…から排出権を購入しなければならないが、このような事態は絶対に避けなければならない。
英語の原文: "Let Taxes Spur Carbon Cuts"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050314_sawa_let/
Debates:
 
「米国の東アジア政策」
 ジェームス・A・ケリー (前米国務次官補、CSIS上級顧問)
  
   ブッシュ政権二期目の東アジア政策は、大枠では変更無いと見込まれる。これは、第一期目の諸政策がそれなりに上手く機能しており特に変更する理由が無いこと;大統領とライス国務長官は従来から東アジア政策についても緊密に連携しており大きな変更は見込まれないこと;そしてゼーリック新副長官がアジアを良く知っていること、による。
   中国は随分変わった。米国との関係でも、両国高官の間の電話連絡が月に数回は行われている。中国には二つの大きな国内要因がある。経済成長と高まるナショナリズムである。ナショナリズムについては、人々の意識の根底に、過去二百年間外国に搾取された、という被害認識がある。
   ブッシュの重要な東アジア政策のひとつは同盟の強化であったが、これについては非常に上手く行っている。
   北朝鮮の脅威もあって、日米弾道ミサイル防衛は速やかに合意された。二月の「外務・防衛閣僚会合」発表では、日本の決意が従来には無い明快な形で表現された。豪州とはFTAからイラク問題まで、あらゆる面で緊密度が増した。韓国との関係については様々に報道されているが、米英に次ぐ規模の軍隊をイラクに派遣していることに見られるように、基本的には心配が必要という段階ではない。北朝鮮に対しては、核が無い朝鮮半島を、という観点では関係国は一致している。その他、タイやベトナムとの関係も深まっている。
   勿論、北朝鮮、台湾海峡、ミャンマー等、問題はある。しかし一方で、津波災害では、米国がこの地域で大きな役割を果たせることが改めて確認された。米国のアジア政策は健全で現実的である。
英語の原文: "U.S. East Asia Policy"
http://www.glocom.org/debates/20050310_kelly_us/
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