ブッシュ政権二期目の東アジア政策は、大枠では変更無いと見込まれる。これは、第一期目の諸政策がそれなりに上手く機能しており特に変更する理由が無いこと;大統領とライス国務長官は従来から東アジア政策についても緊密に連携しており大きな変更は見込まれないこと;そしてゼーリック新副長官がアジアを良く知っていること、による。
中国は随分変わった。米国との関係でも、両国高官の間の電話連絡が月に数回は行われている。中国には二つの大きな国内要因がある。経済成長と高まるナショナリズムである。ナショナリズムについては、人々の意識の根底に、過去二百年間外国に搾取された、という被害認識がある。
ブッシュの重要な東アジア政策のひとつは同盟の強化であったが、これについては非常に上手く行っている。
北朝鮮の脅威もあって、日米弾道ミサイル防衛は速やかに合意された。二月の「外務・防衛閣僚会合」発表では、日本の決意が従来には無い明快な形で表現された。豪州とはFTAからイラク問題まで、あらゆる面で緊密度が増した。韓国との関係については様々に報道されているが、米英に次ぐ規模の軍隊をイラクに派遣していることに見られるように、基本的には心配が必要という段階ではない。北朝鮮に対しては、核が無い朝鮮半島を、という観点では関係国は一致している。その他、タイやベトナムとの関係も深まっている。
勿論、北朝鮮、台湾海峡、ミャンマー等、問題はある。しかし一方で、津波災害では、米国がこの地域で大きな役割を果たせることが改めて確認された。米国のアジア政策は健全で現実的である。
英語の原文: "U.S. East Asia Policy"
http://www.glocom.org/debates/20050310_kelly_us/