日本の初中等教育政策にまた改変の話が上がっている。ここ数年、児童・生徒の学力低下が巷で喧伝されるようになり、その元凶として、三年前に文部科学省が採用した「ゆとり教育」が槍玉に挙げられてきた。
特に、昨年12月にOECDによる15才の国際学力調査結果及びIEAによる小学校4年生と中学校2年生の国際数学・理科教育動向調査結果発表により、日本の子供の学力低下が報告されてから、文部大臣もゆとり教育を見直す旨の発言を行っている。
しかし、ゆとり教育は、詰め込み教育の反省として、70年代から徐々に導入され、三年前に漸く今の形にまで発展したものである。未だ三年しか経ていない政策の成果を云々するのはまだ早いのではないか。
特に、今回の騒ぎは、海外の機関の調査結果に大きく反応した面があるが、これは、子供の学力というより、日本人の国際的な地位に拘っていることの反映である。
公教育のあり方については、まだ三年しか経ていないゆとり教育の善悪をいきなり問うのではなく、例えば、現在のような中央の教育官僚の統制に委ねて置いて良いのか等、まず検討すべき課題があるのではないか。
英語の原文: "Give Education Policy a Chance"
http://www.glocom.org/opinions/essays/
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