資本主義経済では、企業も私有財産であるが、他方、企業は法人として人格が認められている。従って、法人とは云え、人である株式会社自体には、法的には所有者は存在しない。株主が所有者であるというのは、法制上のことではなく、経済的な実態の認識である。
このように、会社を所有する株主はガバナンスを有するとともに、そのリスクを負担する。従業員・取引先等を含む株式会社の利害関係者(ステークホルダー)の中で、唯一通常時にリスクを負うのは株主である。
会社が新商品を開発し、新規事業を始め、そして結果として期待通りの利益を得られれば、株主は株価の上昇を享受できる。即ち、株主価値が創造されたことになる。
M&Aは、株主のガバナンスが移動することによって、効率の悪い企業を生産性の高い企業に変身させたり、新たに価値のある事業を生み出したりして、国の経済の効率化に貢献する。
M&Aは日本でも活発になりつつあるが、従来は理解されなかった株主のガバナンスの重要性を人々は理解する必要がある。
英語の原文: "Who is the Owner of a Company?
Maximization of Shareholder Value is the Goal"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050328_wakasugi_who/