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注目記事 (2005/4/4)

Opinions:
 
「クリーン開発の適正な価値」
 佐和隆光 (京都大学教授)
  
    京都議定書が発効したが、米国は参加していない。既に2001年3月にブッシュ大統領が不参加の意思を表明して居たが、そこでは、議定書には「致命的な欠陥」があり、経済発展を阻害するばかりか排出ガス削減にも役に立たないという理由が述べられた。日本としては、今後米国のみならず、中国・インドにも議定書への加盟を呼びかけると伝えられているが、それには、米国が指摘した「致命的な欠陥」についての分析と議論を基に、議定書の弱点を補強する政策提言を行って行く必要があろう。
    ロシアについて言えば、議定書への参加は、温暖化ガスの排出権を他の国々に売るという目論みがあったためであり、最後まで渋ったのも、この収入の目処が中々立たなかったことに因る。実際、米国が参加を見送ったことにより、排出権の予想価格は急落している。このためもあって、想定されたような広い排出権市場は成立せず、相対取引に留まると指摘されている。
    日本としては、国内の節減だけでは目標は困難であり、議定書に盛り込まれた「クリーン開発メカニズム(CDM)」を利用し、途上国でのクリーン開発によって、排出権枠を補って行かねばならない。ここで問題になるのは、排出権の価値がどの程度になるかの見通しが困難なことで、これでは民間企業にはリスクが大き過ぎる。CDMを有効に機能させるためには、排出権枠を政府が一定の価格で買い上げることを保証するような仕組みが必要である。さもなければ、日本は、ロシアから相対で枠を購入しなければならなくなる。

英語の原文: "The Price of a Clean Project"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050404_sawa_price/
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