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注目記事 (2005/4/11)

Opinions:
 
「日本の観光資源を活用せよ」
 牛尾治朗 (ウシオ電機会長、経済財政諮問会議民間議員)
  
地域主導の必要性
   日本人は国内旅行ではなく、海外旅行に大挙して出かけているが、その一方で海外から日本への外国人旅行者はあまりに少ない。はたして、日本の観光産業は消費者の好みの変化に十分対応しているのか、日本の観光地と観光関連産業は国際競争力を失っているのではないのだろうか。この問題に対処するためには、「競争」と「優先度」という民間の視点を重視する必要がある。
    第一に、地域主導で国際競争力のある面的な観光地づくりをすべきである。これまでのように観光客を呼んでくるだけでなく、これからは一日でも長く地域に滞在してもらうことが重要である。そのためには、釣りやスポーツ、歴史探訪や伝統的イベントなどの観光コンテンツを充実させることが大事で、これは地域のやる気にかかっている。日本でも世界遺産のような資源をフルに使えば、那智や熊野のように名だたる観光地になることが可能で、多くの地域が一生懸命やっている。
人的資源の訓練を
    第二は、観光産業を支えるいわば観光のソフトインフラを整備し、強化することも重要である。特に、観光産業とその人的資源の問題への対処も大切である。一番の問題は、日本型の観光がまだ団体旅行仕様から個人・家族仕様への変化への対応が遅れており、宿泊、食事、交通などで多様なサービスを提供できていないことである。個人や家族の観光は、金銭消費型から時間消費型へ変化しており、多様な選択肢の中から好きなものを選ぶことを望むようになっている。そのような多様でよりよいサービスの選択肢を観光客に与えるような競争が起ることを期待したい。
    観光立国を進めていくうえで、レベルの高い専門家や実務家を育成できる高等教育機関と学問体系の整備・充実が今後ますます大切になってくる。特に、国立大学にもっと観光について学べる学科をつくるべきで、来春はまず第一歩として、山口大学や琉球大学で観光を教える学科が設置される。さらに欧米でみられるように、ツアーガイドやツアーインストラクターをプロとして訓練する必要がある。
外国人旅行者を引きつける
    第三に、外国人旅行者の訪日促進と受け入れ体制の問題は改善すべき点が多い。例えば、空港での外国人のためにイミグレーションの待ち時間をもっと短くすべきで、さらにビザ取得の負担軽減も検討に値する。中国で訪日観光ビザ発給の地域を広げれば、日本への中国人観光客を倍になるといわれている。台湾や韓国からはノー・ビザに、という考えもありうる。
    現在、日本政府は官民連携で「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開しており、日本の人気女優を観光広報大使に指名するなど努力している。しかしそれだけでは十分でなく、もっと外国人旅行者を引きつけるためにより戦略的なPRのあり方を考えなければならない。それとともに、国民そのものにもっと観光マインドが必要で、外国人に親切にするように、一人一人が大使のように行動することが大切である。
   さらに、日本では景観整備や都市計画の問題もある。もっと景観街道や歴史街道を作って維持する一方で、観光のために車が止められるスポットも整備して、観光客が観光地を訪れやすく、また十分楽しめるように工夫することも必要である。要するに、「住んでよし、訪れてよし」の所に人々が集まる。例えば、パリは特別な観光施設はないにもかかわらず、もっとも人気のある観光都市の一つである。
日本での成功例
   実際に、日本の観光地でもいくつかの成功例がある。例えば、九州の湯布院は温泉が出る以外は特に何もなかったが、周辺によい飲食店や土産屋があるので、それを回ったりするだけで一泊ではなく、二泊はしてしまう。それで観光客には大変な人気である。京都も人気のある観光都市であり、特に金閣寺でのバイオリン・コンサートや比叡山の延歴寺での歌舞伎などのイベントに多くの観光客が集まっている。
   日本では産業観光も成功している。トヨタ自動車には毎日多くの観光客が詣でている。これに愛知万博を関連させれば、日本に非常に多くの外国人観光客が来るようになるであろう。いずれにしても、国内外の観光客を引きつけるために地域の資源を開発し、地域特有のコンセプトやコンテンツを作り出す上で、地域のイニシアティブが必要不可欠である。政府はそのように観光産業を改革しようとする地域を支援すべきであろう。

英語の原文: "How to Utilize Japan's Resources for Tourism"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050411_ushio_how/
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