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注目記事 (2005/4/25)

Debates:
 
「非難合戦はもう沢山、今こそ政策変更を」
 ブラッド・グロッサーマン (CSISパシフィック・フォーラム調査主任)、
 スコット・スナイダー (CSISパシフィック・フォーラム上席研究員)
  

   日中韓の最近の確執は、各国リーダーの指導力不足が根本原因である。問題は突然発生したのでは無く、三国(政府)それぞれに責任がある。
   小さな島(とそれに伴う資源)の領有問題、小泉総理による靖国参拝、歴史の汚点を糊塗する日本の歴史教科書、と表面化した問題の主因は、何れも歴史的経緯にある。三国の指導者達は、何れもこれらの根本問題を当面の政局を有利に運ぶために利用しているが、必要なのは、他人を非難することでは無く、自らを見つめなおすことである。
   日本政府は、(竹島の)領有問題は地方政府が引き起こしたこと、教科書は表現の自由という国内問題、靖国参拝も国内問題、と言い訳しているが、より大きな視点から捉えることを怠っている。
   中国は、自らこれまで行って来たことに頬かむりをしたまま、日本に謝罪と賠償を要求している。一方的に日本の領海潜水艦を送り込んだり、領有権が争われている地域での資源開発を行った。更に、反日デモを後押しした後、暴徒化してから慌てて押さえ込もうとしている。そもそも反日感情そのものが長期にわたる反日教育の結果であることを認めていない。
   韓国の政策も同様に近視眼的である。盧武鉉大統領は従来の経緯を無視して突然日本に対し領土問題で外交戦争を仕掛けたが、これは、韓国内の歴代政権と為政者達を貶めるためとしか解釈できない。小泉氏は右派に譲歩しつつり、盧武鉉氏は進歩的左派を演じて居り、中国政府は民衆の不満を(本来とは別の方向に)発散させようとしている。    制御不能になる前になんとかしなければならない。各国は、外敵を想定することによって自らのアイデンティティーを図るような政策は止めなければならない。この中では、米国も表面に出ることなく、静かなアプローチでの問題の解決に寄与し得る。

英語の原文: "East Asia: Blame Enough to Go Around"
http://www.glocom.org/debates/20050421_glosserman_blame/
Debates:
 
「反日暴徒が関係を悪化させる」
 石塚 雅彦 (フォーリン・プレスセンター評議員)
  

   中国内での日本政府公館や日本料理店に対する暴徒の攻撃は、日本の大衆を大いに驚かせた。日本人が一見冷静なのは、驚きと恐怖によって対抗策が見出せないことにある。日本人の間では、暴徒の背後には中国政府が居るのではないかという疑念が広がっている。いつもは中国に理解を示すようなスタンスをとるメディアも、今回は中国政府の態度に驚愕している。日本に対する生来の中国による嫌悪─日本に対する優越感そして日本と同列に置かれることに耐えられないという対抗意識─が顕現したものかと疑っている。
   日本人の多くは中国(の政府当局)と全く同じ歴史認識に達するまで永遠に非難されなければならないのかと懸念している。そして、仮に根本的原因が戦時中の日本の態度にあったとしても、中国側の言い分はバランスを欠いていると感じている。
   中国は民主主義では無く、共産党の独裁政権であり、メディアは厳しく統制されている。日本人の多くはそのような状況が良く分かっていない。逆に中国の期待はどうやら、日本のメディアが反中国報道を行わないよう日本政府が統制することを期待しているようである -- 日本には報道と表現の自由があるにも関わらず。また、何故いつも中国は日本だけ酷く非難するのかに疑問を持つ日本人も多い -- 中国の反日教育が原因であるという意見もあるが。
   然し指導者は、直面する問題に惑わされることなく、長期的視野に立って政策を遂行する責任を有しているはずである。小泉総理はそのような長期的視点を有していないため、靖国問題に対する頑な態度が問題を大きくしてしまった。最大の問題は、小泉氏は国民と中国に対し説明責任を有しているにも関わらず、それを怠ることによって齎される結果について無関心であることである。

英語の原文: "Anti-Japan Mobs Damage Relations"
http://www.glocom.org/debates/20050419_ishizuka_anti/
Debates:
 
「政治目的に悪用される歴史」
 ジェイコブ・コバリオ (カールトン大学教授)
  

   日中韓の確執の焦点は、歴史認識と日本の教科書、領土問題、そして日本の安保理常任理事国就任にあると言われている。しかしよく見れば、北京とソウルは、歴史と領土問題を利用して日本の常任理事国就任を妨げようとしていることが分かる。
   日本の歴史教科書の内容については、日本国内でも長年議論の的になってきた。しかし、表現(と宗教)の自由を絶対視する戦後の日本が、超右翼的教科書の存在をも許してきた。ただしソウルが何と言おうと、問題教科書を使っているのは学校の0.04%に過ぎない。
   1945年までの日本の侵略政策は議論の余地のないほど明確になっているが、ここへ来ての中韓両国の主張は歴史を今の政治に利用している謗りは免れない。
   中国内の反日暴動は、政府に対する民衆の不満の解消を政府があらぬ方向へリードしたものである。中国は自らのインドに対する侵攻やチベットに対する非人道的措置、そしてベトナムに対する攻撃を棚に上げている。韓国の竹島に対する態度も不思議である。領土権の主張の正当性が何れにあるか以前に、竹島は韓国軍が占拠したままとなっている。韓国軍は80万人を擁するのに対し、日本の自衛隊は22万人である。
   中韓両国は日本の18回に及ぶこれまでの謝罪を無視し、未だ不足だと叫んでいる。両国が非難する靖国参拝についても、仮に靖国神社の成り立ちに問題があったとしても、過去55年の日本の国際社会での実績を見れば、小泉総理の言う、過去の反省と平和への決意のための参拝、という説明の方が説得力がある。
   中韓両国は、1945年以来の日本の努力と世界への貢献に目を向けようとしていない。その間、中国では失策と圧制により何人死んだか。韓国は自らの土地を焦土と化した、中国を後ろ盾とする北朝鮮の侵略を忘れたのか。
   今回の日本の冷静な対応は賞賛に値する。まさに常任理事国に期待される行動様式である。
   中国による地域支配を目論んで無謀に歴史を弄ぶような態度は、まさに指導的立場に立つ資格が無いことを証明している。
   世界的な視点からみれば、中国による無責任な「いじめ」や、盧武鉉大統領による「中・韓・北鮮」同盟政策が日本を追い詰めることによって、1931-1945年に日本を支配したような勢力の台頭を促すことにならないことを願いたいものである。

英語の原文: "Abusing History for Political Ends"
http://www.glocom.org/debates/20050425_kovalio_abusing/
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