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注目記事 (2005/6/7)

Opinions:
 
「日本の富の矛盾」
 佐和隆光 (京都大学教授)
  
   1987年に日本の一人あたりGNPは米国を上回った。これは、戦後西欧に追いつき追い越せと頑張って来た日本人の夢の実現であった。
   西欧では、一人一人が豊かになる結果として国が富むという考えが一般的であるが、日本では反対に、国が豊かになってこそ個人の豊かさが実現できると広く信じられている。つまり、日本が高水準の一人あたりGNPを達成したのは、実は一人一人の貧しい生活水準に拠るものであった。しかしその同じ1987年にはバブル経済という新しい様相を見せるに至った。
   バブル経済下では拝金主義が蔓延り、勤勉さや誠実さが否定されてしまい、人々は次に掲げるべき目標を見失ってしまった。
   日本人は新たな目標を見出すことが出来るだろうか?まず必要なことは、国全体を組織として捉えるのでは無く、多様な価値基準の中で国民一人一人がそれぞれの豊かさを選んで行くことである。新たな目標とは、従来の、個人の生活水準は低い金持ちの国から、高い水準での個々人の満足度を支える豊かな国への変貌ではないかと考える。

英語の原文: "Japan's Paradox of Wealth"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050607_sawa_japan/
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