中国の外貨準備は急速に積み上がっており、そう遠くない将来、日本を抜いて世界一の外貨準備保有国となろう。これは、現在の人民元レートが市場の均衡水準を下回っていることにより、中国の対外不均衡が拡大していることによる。人民元の相場を維持するために、市場介入が行われるが、これは国内の経済建設に活用されることなく、海外に流出してしまう。また、介入によって国内の通貨供給量も増え、景気の過熱に拍車を掛けている。人民元の現行為替制度は行き詰まっている。資本移動が活発化する中で金融政策の独立性を維持するため、中国はドルペッグから管理変動制に移行すべきである。ただ、為替政策はあくまでも経済を安定させる手段であり、「元安」で中国の構造的失業を、また「元高」で米国の構造的貿易赤字を減らすことはできない。人民元の切り上げは、米国のためではなく、中国自身のために必要なのである。
英語の原文: "Reform of China's Foreign Exchange Rate System – A Stronger RMB Benefits China"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050711_kwan_reform/