世界的に過剰貯蓄だとされるが、今の特長は、過剰貯蓄の主役が企業部門だということである。企業部門の現状は、企業がフリーキャッシュを抱え込んでいることを意味していが、これは、投資家の利益には明らかに反している。ただし、企業の利潤に対する請求権を持っているのは、投資家だけではなく政府も、企業に支払いを要求する権利(徴税権)を持っている。法人課税の強化は従来は反対が強かったが、企業がフリーキャッシュを抱え込んでいるような状況では再考の余地があるのではないか。国際競争力は法人税率の高さだけで決まるものではない。税負担に見合う政府サービスの品質が本質的な問題である。政府サービスの見直しは必要であるが、法人増税が選択肢からあらかじめ排除されうるものではない。
英語の原文: "Corporate Tax Increase an Option?"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050905_ikeo_corporate/