先の総選挙は当初から小泉氏の有利が伝えられた。「改革」という魔術に情緒的な選挙民が幻惑されたためである。巨大な公的債務を抱え、中国の成長という恩恵に縋りようやく底支えが行われているという経済の現状では、野党が大躍進してもおかしくはなかった。何故野党は人々を覚醒させることが出来なかったのか。
まず、日本では事実や数字が大衆に受けないと言うことがある。また、民主党自身の、内部に左派を抱えつつ政策の殆どは自民党と同じ、という分裂体質もあげられよう。しかし結局は「サッチャー流」を通り越し「ヒットラー的」とさえ言われる状況が現出した。
問題の根は前回の改革 - 1993年の選挙制度改革 - にある。二大政党制の成立を展望して導入された小選挙区制は、思想的背景の乏しい日本では期待された効果を生まなかった。
しかし見通しが全く暗いわけではない。小泉氏は間違った政策でも頑固に推し進める傾向がある一方で、驚く程の柔軟性を示すこともある。強い権力を得た小泉首相が目の覚めるような政策を断行する可能性が無いではない。
英語の原文: "System's Flaws Help Keep Koizumi On Top"
http://www.glocom.org/debates/20050926_clark_system/