団塊世代の退職が本格化し人材不足などが深刻化するという「2007年問題」への懸念が出ている。しかしそれは、2007年という年のせいではなく、団塊の世代の責任でもない。問題は1947年生まれの人が、たまたま2007年に「60歳定年」を迎えるということに起因する。2007年問題の元凶は、60歳で定年退職させるという企業の制度にある。
現在、全人口に占める65歳以上の高齢人口の比率は約20%であり、これが10年後には約26%、20年後には約29%となる。団塊の世代が高齢人口の仲間入りをする2012〜15年あたりは、高齢人口比率の上昇率が急こう配になるが、その後も高齢化は着実に進む。高齢化という構造変化は、一過性のものではなく、これからずっと続くものなのである。
これに対応して昨年、高年齢者雇用安定法が改正され、65歳未満の定年制をとっている企業は、2006年4月以降段階的に65歳までの雇用を義務づけられた。しかし問題は、当面の措置として、企業側が就業規則などで基準を定めれば、誰を継続雇用の対象にするか選別してもよい、ということになっている点である。また、最終的に年金が65歳支給となったときに、60歳定年は変えず5年問を中途半端な雇用のままにしておくというのは無理がある。定年そのものを年金の支給開始年齢である六十五歳まで引き上げることが最低限必要である。
さらに長期的には定年退職制度そのものを無くすことも考える必要がある。定年の廃止には年齢や勤続に応じて賃金や職位が上昇する年功的な賃金制度、昇進制度の抜本的な見直しが必要であるが、正しい意味での能力成果主義は、年齢にかかわりなく人材を活用する仕組みとしても必要なのである。
英語の原文: "Re-considering the Year 2007 Problem"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20051011_seike_re/