中山素平 初代理事長のご逝去の報に接し、慎んでお悔やみ申し上げます。
中山さんは1961年55歳の時に日本興業銀行の頭取に就任され、その後会長、相談役になられてからも、一貫して日本が果たすべき国際貢献の重要性を強調しておられました。
このため、まず「財界の中から国際的に活躍できる高度な知識を持った人材を育成することが急務である」と提言され、故土光敏夫さんら財界あげての支援の下に、日本初の全て英語で授業を行う大学院大学である国際大学を1983年、上越新幹線の開通と同時に新潟県南魚沼市に開校されました。
中山さんは自ら初代理事長となり、初代学長には大来佐武郎さんが就任されました。
国際大学は、中山さんご自身の信念であったMBA教育と地域研究の融合を理念に、現在までに約100ケ国、2,200名のグローバル・リーダーを送り出し、それぞれ世界各国で活躍すると共に、大学を中心に幅広いネットワークを構築するに至っております。
中山さんは理事長退任後も理事としてご高齢にも拘わらず、つい最近まで大学の事務所に出向かれ、教育改革に熱心に取り組まれその発展に寄与されました。また、1906年生まれの中山さんは以前から、「出来れば21世紀を見てみたい」と言っておられました。
21世紀に入り、その願いが果たされますと、ご自身のイニシアチブで英語での情報発信事業を始められました。
これは、日本から海外への情報発信活動が極端に不足している、との憂いから発したもので、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが主体となり、日本の識者の方々による英語での意見開陳を活発に海外向けに発信しているものであり、今や世界的に認知して頂けるまでになっております。
中山さんは生涯を通じて「日本のために」というお考えを中心に据えられ、新しいこと、難しい問題ほどやりがいが多いと言われてその解決に向かって前向きに努力された稀有な方でございました。
本学の理念がまさにその真価を問われようとしている今、ご指導、ご助言を頂ける方を失い、これほど残念なことはありません。
心より故人のご冥福をお祈り申し上げます。
以上
英語の原文: "In Memory of Mr. Sohei Nakayama, Founder of the International University of Japan"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20051125_kobayashi_in/