今月中旬、マレーシアで東アジアサミットが開催される。米国はこの会議には招待されていないが、東アジア地域での影響力が弱まっていると指摘される中、米国としてはアジアとの関係維持強化に注力して行く必要がある。
アジアにはソフトパワーの潜在力があるが、欧米に比べ工業化が遅れたため、その影響力は削がれてきた。20世紀後半以降になって、日本の発展が先導する形で、アジアもようやく徐々に復興してきた。日本は20世紀の終わりには物質面のみならず、ソフトパワーでも世界に影響を与える立場に立った。十年以上に亘る経済不況の間も、日本の文化的影響力は強化された。しかし日本に関しては、近隣諸国との戦後処理を巡る確執、少子高齢化・人口減少に加え、非国際語である日本語に拘っているという限界があり、文化の志向が内向きのままに留まっている。
今後有望なのは、中国とインドである。中国は軍事戦力というハードパワーに加え、ソフトパワーでも力をつけて来ている。インドはIT拠点としての発展に伴い、文化的発信力も強くなって来ている。しかし中長期的により重要なのは、本質的な潜在力として、両国が長い歴史と文化の蓄積をもっていることである。
未だ欧米日のレベルには達していないが、中印を先頭に、今後アジアのソフトパワーは強化されて行く。米国はその流れから取り残されないような舵取りを行って行く必要がある。
英語の原文: "The Allure of Asia and America's Role"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20051205_nye_allure/