小泉総理は靖国参拝が外交に悪影響を及ぼしてはいないと主張するが、東アジアサミットにおいて胡錦濤主席と盧武鉉大統領に会談を拒否されたように、現実に影響が出ている。
一方、米国はこの問題については積極的な発言を行っていないにも関わらず、日本との強力な関係を誇示することにより恰も小泉総理の靖国参拝をも支持しているかの如き印象を与え、これが、米中・米韓関係を難しくしている面も否めない。
筆者は以前から、小泉氏がその信条に従い靖国神社を参拝することには、賛意を表明して来た。しかし、小泉氏が参拝によって伝えようとした平和への決意は、いまや政治的な駆け引きの中に埋没してしまい、反日・反小泉の格好の攻撃材料となっている。
ここにおいて小泉氏としては、喫緊の課題により効果的に対応するために、中韓両国による同様に大きな政治的譲歩を得ることを条件として、靖国参拝の停止を宣言したらどうだろうか。
日本が戦後60年の間、世界で最も平和と繁栄を内外で推進してきた国であることは間違い無い。この間中国は近隣諸国のみならず自らの国民にも何度かにわたり銃を向けて来た。20世紀を通して見れば、日中韓の人々はそれぞれ苦難の時を経験して来ている。この経験を互いに尊重することが、今後の建設的な関係に通じる。
小泉総理が靖国参拝の停止を発表し、三カ国の首脳会議を実現させ、その際に、日本が中韓両国の繁栄に大きく寄与したことも認め合った上での共通の歴史構築プロジェクトを立ち上げることにより、三カ国が建設的な協調関係を築いて行くことは出来ないだろうか。
英語の原文: "Yasukuni Shrine: Time to Make a Deal"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20051212_cossa_yasukuni/