情報革命と技術革新によって世界はますます小さくなり、国際関係はますます複雑になってきている。特にアジアでは、経済面での統合が急速に進む一方で、アジア経済共同体の形成過程で主要国間の競争やライバル関係はより激烈になってきているように見える。
このような状況下で日本が、アジア諸国、特に中国や韓国のような近隣諸国の多くの人々によって誤解されているのは非常に残念なことである。今や靖国参拝や歴史教科書といったいわゆる「歴史問題」が、主に相互の誤解から生じているものとはいえ、日本と近隣諸国との経済関係にまで影を落としつつあり、このままでは将来世界経済全体に悪影響を与える可能性も否定できない。
これに対して、日本ができること、またすべきことの一つは、日本が自らの意見や意図を対外的に表明し説明する能力を向上させることである。これは情報化とグローバル化の時代においては、どの国にとっても国際関係を改善するために決定的に重要なことといえる。特に重要なのは、今や万国共通語になった英語でコミュニケーションを行うことであり、国際的な対話にとって不可欠なインターネットを活用することである。
我々はこの点について、政府が望ましい方向に動くことを待っているよりも、それぞれ自分たちが、海外のできるだけ多くの人々とコミュニケートするような行動をとるべきである。例えば、自分のウェブサイトやブログを使って自分自身の意見も含めたいろいろな見方を英語で発信し、他の国の人々と相互理解を促進することが考えられる。そのような試みの一例は、国際大学・情報発信機構のウェブサイト(
www.glocom.org)で、そこでは日本を巡る重要問題についてオピニオンリーダーの意見を英語で発信している。このような活動は、今後とも日本が他国によって十分理解され、公平に評価されるためにますます重要かつ不可欠なものになっていくであろう。
英語の原文: "Increasing Importance of Japan's Communication with Global Community"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20051222_gyohten_increasing/