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注目記事 (2006/1/30)

Opinions:
 
「首相の靖国参拝を容認する日本の国民」
 石塚雅彦  (フォーリン・プレスセンター評議員)
  
  小泉首相が年頭に、靖国参拝に対する中国・韓国の反発は理解できない、と述べたのに対し、日本国内の主要メディアからも多くの反論が唱えられている。靖国参拝は必ずしもあの戦争の正当化を意図したものではなく、歴代の総理大臣と同様に、小泉首相も、過去に日本がアジアを侵略したことを謝罪している。しかしそうであればこそ、その戦争を指導したA級戦犯が祀られている靖国神社への参拝は、小泉首相の行動としては矛盾している。
  一方、靖国神社の存在自体があの戦争を正当化しようとしたものである、という中韓の主張も的を射ていない。日本人の多くは、気持ちの表現方法で不器用な面は否めないものの、あの戦争で日本が行った侵略については、被害者に対して申し訳ないと思っている。今日の靖国神社は、軍国主義の表象では無く、またA級戦犯は日本の英雄ではない。靖国という実効的意義に乏しい問題のために日本とその隣人が不和になるのはある意味ばかげている。
  このような事態に立ち入ったのは小泉首相の拙劣な外交姿勢にある。国内事情から昨秋の選挙で大勝した小泉首相は、外交も自らの思い通りに進めて良いと思っている。
  最近の日本の世論調査によると、今の危機的状態はそもそも日本人と小泉首相が引き起こしたという自覚が無いまま、中国を非友好的と見る国民が三分の二と史上最高を記録した。多くの人々は中国の脅威をその理由にあげている。しかし日本人は、地域の大勢力としての中国の台頭と、それに呼応した日本の地位の低下という現実に目覚めなければならない。
  中国が成長をはじめた三十年程前までは、日本人は中国のことを、将来性の乏しい後進国とみなしていた。十九世紀以来、日本は中国を蹂躙し、中国人を侮辱していた。しかしいまや両国は東アジアでの指導力を競うようになった。そして小泉首相の外交により、靖国問題はナショナリズムを刺激し、両国関係を一触即発の危機にまで押しやった。

英語の原文: "Public Tolerates PM's Shrine Visits"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20060130_ishizuka_public/
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