少子化対策が国の戦略として重要性を増している。近年、少子化を所与とする一種のあきらめの風潮もあるが、フランスやスウェーデンなど少子化を改善した経験もある。少子化対策は国の未来への希望につながる最も重要な施策である。
第一に、出産と幼児保育の環境整備については、まず出産や不妊治療を健康保険の対象とする。また、規制改革により民間保育所が多様で潤沢なサービスを提供できるようにするとともに企業のネットワーク型保育サービスを推進すべきである。
第二に児童の保護と育成については、熟年者が放課後の児童を自宅や施設などで親が帰るまで預かり、生活の知恵などを伝える「生活塾」構想と「子育て支援タクシー」を広げるのが有効である。
第三は仕事と子育ての両立であるが、仕事の配分などでの柔軟工夫、父親の育児休暇の活用、育児休暇後の職場復帰とキャリア継続などに加え、職場に企業内保育所の設置を義務づけ、従業員や地域社会でのネットワーク型の利用を進めることも有益である。
これまで、少子化傾向に拍車をかけてきた大きな要因は、結婚そのものが減少してきたことだった。しかし、近年では結婚五ー十五年の夫婦の平均出生児数が顕著に減少しており、結婚した夫婦でも子供を産み育てることが難しくなりつつあることを示唆している。その意味でも、出産、子育てための環境整備が急務である。
英語の原文: "Improve Child-Raising Capabilities of Localities"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20060320_shimada_improve/