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注目記事 (2006/3/27)

Debates:
 
「国際政治とエネルギー問題の均衡点を模索する中国」
 マイケル・リチャードソン  (東南アジア研究所客員研究員)
  
  中国は先週、二つの方面でエネルギーの安全保障を画策した。ひとつはロシアのプーチン大統領が訪中した際の会談であり、もうひとつは、国連安保理事会における、イランの核開発問題への対応である。これらのテーマは相互に関係がある。もし、ロシアが中国に対し多くのエネルギーを輸出することになれば、中国による、安保理におけるイラン制裁反対の姿勢が弱まるからである。中国は、同国へのエネルギー供給元としての立場から、イランへの制裁に消極的だからである。つい先月、中国とイランは、一日30万バレルに達する供給協定を結んだばかりである。
  中国は消費量の40%の原油を輸入し、このうち80%は中東・アフリカからの輸入である。しかしこれらは安全保障の観点からは脆弱なマラッカ海峡を通過しており、その意味で北の隣国ロシアからの陸上輸送によるエネルギー供給は魅力的である。先週の会談では、パイプラインによる年間600〜800億立方メートルに及ぶ天然ガス供給と、中国企業によるロシア領内の油田開発共同参加への原則合意がなされた模様である。
  しかし、日本に対し決定的に有利な立場に立ちたいという中国の強い願望としての、シベリアからの原油パイプラインのルートについては、ロシア側は明確な回答をせず、引続き中国国内に向けるか、ロシア領内の太平洋岸へ伸ばして日本や他のアジア諸国への輸出を志向するかについて検討中と述べたことは、中国側を失望させたようである。

英語の原文: "Where Energy and Politics Collide - China"
http://www.glocom.org/debates/20060324_where_richardson/
Debates:
 
「南太平洋諸国の支持を画策する中国」
 タマラ・ルネ・シー  (米国防大学国家戦略研究所研究員)
  
  米国の影響下にあると言われた南太平洋は、今中国の勢力範囲に組み入れられつつある。米国及びその同盟国が公館や援助を減らし始めた90年代以来、中国は積極的にこの地に働きかけを行っており、現在、各国中最も多い9つの公館をこの地域に保持している。
  その理由の筆頭は台湾問題である。太平洋諸島フォーラム加盟の、豪・NZを除く14カ国のうち、八カ国は中国、六カ国が台湾を承認している。中国は、援助や貿易協定をはじめとする優遇措置で、同国への支持を増やしている。
  しかし台湾問題だけではない。中国が必要とする資源、特に鉱物・木材・魚介類を得るためにも、援助や投資が活発に行われている。外交戦術も多用される。地域各国の首脳の多くは就任直後に、おそらくは中国の負担で且つ援助の上乗せを匂わされ、北京詣でを行う。1997年に中国がキリバスに衛星追跡基地を設けた。宇宙開発支援という名目であるが、近隣のマーシャル群島にある米軍基地監視用との噂が絶えない。
  現在はまだこの地域は、米日豪NZそしてEUに親近感を抱いているが、この五年間で中国は援助や貿易以外にも、中国製テレビ番組の放映、留学生交換、中国からの旅行者の増大等により急速に地歩を固めつつある。これらの活動は米国が90年代以来撤退している分野を中国が埋める形で進められている。このままでは、地域全体が親米から親中に傾くのは時間の問題である。

英語の原文: "China Woos the South Pacific"
http://www.glocom.org/debates/20060322_shie_china/
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