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注目記事 (2006/5/22)

Debates:
 
「六カ国協議を死に体にしないために」
 スコット・スナイダー (CSISパシフィック・フォーラム上席研究員)
 ラルフ・コッサ (CSISパシフィック・フォーラム理事長)
 ブラッド・グロッサーマン (CSISパシフィック・フォーラム調査主任)
  
  六カ国協議の第四回会合が終わってはや九ヶ月になるが、その際に発表された合意文書の内容は、将来に向けての交渉の出発点と言うよりは、今やそれ自体が迂遠の彼方にある達成困難な高い目標のように見える。北朝鮮がウラン抽出を続けるなかで、米国は経済制裁を強め、韓国は開城工業地区への投資を続け、中国は援助や貿易量を倍増させている。
  この状況をみて、六カ国協議は死んだ、と看做す向きもある。いっそ協議の崩壊を宣言して舞台を国連安保理に移すとか、或いは公式に六カ国協議の終焉に触れないまま、通貨偽造・資金洗浄等北朝鮮による違法行為を理由に非軍事的な制裁を更に強めることも提案されている。
  また、中国は既に議長としての役割を放棄し、米国と北朝鮮の二カ国協議の為の場所提供の役割に留めて居るという見方もある。これに基づけば、米国としては寧ろ積極的に例えば大統領特使を送り金正日氏本人と直接交渉を行うことや、或いは英国がリビヤのカダフィ議長に対して行ったような舞台裏での直接のアプローチも有効かも知れない。
  更に別の案として、朝鮮戦争を正式に終了させ、講和条約の締結を目指すことも考えられよう。この交渉の過程で、核のみならず、その他の問題も全て交渉のテーブルに上げて全体としての議論をするのも一案である。寧ろ当事者が夫々外交の駆け引きを駆使することができ、全体として建設的な議論が可能となるかも知れない。
  ここで留意すべきは、六カ国協議が地域の危機管理に役立って居るということである。現在大きな前進が見られていないとは居え、六カ国協議の枠組みがあるからこそ、当事者が勝手な方向に突き進んでしまうことに牽制がかかっているのである。「朝鮮半島の非核化を平和的に達成すること」と言う共通目的を(しかもこの「平和的に」と言う部分を重視しつつ)関係当事国の基本的認識として視野に留めて置く為には、交渉を進展させる新たな状況が生じるまで、協議の枠組みは貴重な場として作用するであろう。

英語の原文: "Wither the Six-Party Talks?"
http://www.glocom.org/debates/20060519_snyder_wither/
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