北朝鮮によるミサイルの連続発射は、同国の武器開発能力を試すのみならず、国際社会全体の政策や態度を試すことになったが、これまでのところ失策ばかりが目立つ。
まずテポドンの発射自体が失策である。技術的にも失敗だったようであるが、北朝鮮が中国と韓国からの事前の警告を無視したということは、中韓両国による対北朝鮮政策が失敗であったと言えよう。
今回の発射は政治的な挑発という意味合いが強いが、北朝鮮は国際社会の警告をハッタリであると看做しているのではないか。1998年のテポドン発射の際にも2005年に核兵器開発を宣言したときにも、北朝鮮は国際社会から実質的な反撃を蒙ることは無かった。
これまでのところ、事前警告を実施に移したのは日本だけである。万景峰号の入稿禁止措置に続き、日本主導により北朝鮮制裁決議案が安保理に提出された。
今回のミサイル発射が北朝鮮にとって政治的な成功をもたらすことになるか否かは、国際社会、特に六カ国協議メンバーの対応に拠るところが大きい。しかし韓国は昔から半島の問題を安保理に付託する事には反対であったし、中国とロシアは、制裁よりは「外交的解決」を模索したいと言っている。過去には、安保理決議による制裁やその可能性こそが「外交的解決」として機能したこともあったが今回は果たしてどうか。安保理もまた失策を犯すことになるのだろうか。
英語の原文: "DPRK Missile Launches: Multiple Tests, Multiple Failures?"
http://www.glocom.org/debates/20060707_cossa_dprk/