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注目記事 (2006/8/7)

Opinions:
 
「日本企業における女性パワーの活用」
 瀬戸国昭 (南カリフォルニア日系企業協会・専務理事)
  
  日本のビジネスは世界の市場で着実に拡大しており、特に南カリフォルニアにおいては製造業と貿易の分野で堅調に伸びている。とりわけ地域の経済と雇用への貢献が大きく、カリフォルニア州だけで現地のアメリカ人を約15万4000人も雇用している。さらに日本企業は、トヨタ生産方式や省エネ技術などの有効かつ効率的なやり方を米国のビジネスに導入して、製造業の生産性や効率の向上を通じて米経済を活性化しているといえる。
  日米の経済関係が拡大するとともに、人的な交流や移動も近年急速に増加しつつある。例えば、南カリフォルニアは気候がよく日本に近いこともあるので、ビジネス関係者だけでなく多くの若者が訪れて滞在している。実際に現在カリフォルニア州でいろいろな学校に通っている学生数は、2万人ほどに上っていると思われる。彼らは卒業後日本に戻るが、ビザを取って現地にとどまり日系企業や米国企業に就職するケースもある。
  ここで、米国にとどまって仕事をする日本の若者の職歴に関して、男女間に差があることを指摘したい。男性は一般に会社組織に入って働くことを希望し、仮にカリフォルニアで新たなビジネスを興して成功したとしても、後に日本に戻ってからか、カリフォルニアにいる間に日系企業に入ることを希望する傾向がある。これがロサンゼルスやシリコンバレーでなぜ日本のベンチャー企業の数が中国やインドのベンチャー企業の数に比べて格段に少ないかの理由でもある。
  他方、日本の女性はカリフォルニアにとどまり、自分でビジネスを興す人が目立っている。これは多くの日系の企業で依然として「男社会の文化」が支配的であり、それが日本であれ米国であれ女性に重要な管理職の仕事をさせない傾向がある事実を考えると当然といえる。その意味では、典型的な米国企業でも、特に大きな企業になるほど、日本の女性が成功するには高いハードルを越えなければならない点は同じである。つまり、彼らは自分の長期的なキャリアを開発していくために自分でビジネスを興す以外に選択の余地がないといえる。
  いずれにして多くの日本女性は非常に有能で、自分のビジネスを成功させている。実際に、カリフォルニアの新興企業で、特に就職斡旋や人材派遣などのサービス分野において成功している女性の社長が何人もいる。一般に、女性は男性に比べて人的なネットワークを築いて個人や中小企業を支援することに長けており、そのような能力をフルに発揮してカリフォルニアで成功している日本女性が目立っていることは確かである。
  最近では日本の女性が管理職につくケースが増えてはいるようであるが、主要な企業で管理職を務める女性の数は、他の国に比べるとまだまだ低いレベルにとどまっている。それは少子高齢化の日本社会で貴重な人的資源を浪費していることを意味する。日本女性のビジネス上のパワーと能力は、少なくともカリフォルニアで証明されているので、ぜひ日本でも女性が持っている顧客ニーズに長期的に対応するネットワーク構築の能力をフルに活用すべきではないだろうか。そうしなければ、日本はこれからの厳しいグローバルな競争の中で生き残っていけないであろう。

英語の原文: "Utilizing Women Power in Japanese Business"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20060807_seto_utilizing/
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