中国には様々な問題があり、その改善に向けて努力している人々もいるが、不足しているのは政治レベルでの強い意志である。
例えば経済統計である。中国では、年が終わる前にその年の成長率が発表される。これ自体、信頼を損ねる要素であるが、更に不思議なのは、各州単位に発表される数字より、国全体の数字がいつも低いことである。例えば、今年前半の各州成長率の平均は12%であったが、国全体では10.1%と発表された。これは、州の役人が、どのような報告をすれば出世するかを考えて報告する一方、国は、州の報告がどの程度水増しされているかを見定めて調整しているためである。この問題は解決可能ではあるが、政治の強い意思を必要とする。
少子政策も問題である。世界各国の出生比率が女100に対し男が103〜107であるのに対し、中国の場合は男が119となっている。これは、陰で、好ましく無い事態が発生していることを懸念させる。まずは少子政策の達成度が地方の役人の成績に反映されることを止めるべきである。
健康管理の問題もある。2003年に、中国はSARSの発生を隠蔽し、その結果外国に伝染し大きな被害を起こし、国際的非難を浴びた。今月に入り、不良な抗生物質が原因で六人が死亡したが、事態が明らかになってから禁止されるまで一週間かかった。
これらの出来事が報道され議論されるようになったのは一定の進歩ではある。しかしそろそろ政府が勇気を出してこれらをはじめ様々な問題に本格的に取り組むべきである。しかし残念ながら、メディア統制の強化等、現在検討されている政策の多くは問題を更に悪化させるおそれがある。
英語の原文: "Shortfall of Political Courage in China"
http://www.glocom.org/debates/20060818_ching_shortfall/