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注目記事 (2006/9/25)

Opinions:
 
「安倍総裁 - 人気はあるが政策は曖昧」
 石塚雅彦 (フォーリン・プレスセンター評議員)
  
  新首相となる安部氏は「日本人が誇ることができる美しい国」を目指すと言う。曖昧ではあるが今の国内のムードには合っている。安倍氏は絶大な人気を得ているが、彼の政策が詳細に評価されたわけでも無いし、同氏にはこれまで政治的な実績は殆ど無い。自民党の国会議員が、一般の人気を背景にして、彼を総裁に選ぶ事情は理解できる。でも何故そもそも大衆は殆ど実績の無い安倍氏を支持するのだろうか。例えば小泉氏にしても、長い間政敵と戦って漸く首相の座を勝ち得たのであるのに。
  岸元首相の孫、安倍下外相の子、と言う毛並みが言われることもある。しかし麻生氏も吉田元首相の孫である。安倍氏の政策は今のところ、「美しい国」を創るための「戦う政治家」としか示されておらず、何が「美しい国」であるかということも、ましてやそれに向かって何とどうやって戦うのかも明らかになっていない。
  安倍氏が五年半にわたる小泉政権の落し子であることは明らかである。政権の全期間を通じて五割の支持を得た政権と言うのは日本の近代史の上でも稀有な実績である。小泉政権の人気は、ナショナリスト的心情、改革、そして米国との連携に基づいていた。メディアがいつも首を傾げたのは、小泉首相が一見無謀とも見える行動 - 例えば靖国参拝 - を実行する度に、彼の支持率が高まったことである。
  このようなムードの中で安倍政権は誕生する。政策が曖昧であるとは言え、憲法改正と教育基本法の改定を安倍氏は目標として掲げている。その背景としては、戦後の占領時代の負の遺産の清算という意識がある。そしてこの動きは当然ナショナリスティックな心情の勃興に結びつくことになる。

英語の原文: "Abe - Popular but Untested Leader with Vague Political Agenda"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20060925_ishizuka_abe/
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