「主張する外交」は、安倍政権の一つの柱である。そして、国際経済も外交の重要な一部である。国際関係上、経済力があることは政治的主張が通りやすく、逆に政治力のあることは、有利に経済交渉を進めることができる。日本の喫緊の課題としては、アジア諸国との自由貿易協定(FTA)およびその発展形である経済連携協定(EPA)交渉の推進がある。
先日来日したASEAN加盟の某国の貿易担当大臣が「ASEANは、ASEAN+1の自由貿易協定を中国、韓国とそれぞれ締結した。日本とも締結したいが、交渉はうまくいっていない。このため、これからは日本に不利な場面も出てくるのではないか。」と語っていた。
最近、日本は、東アジアEPA(ASEAN+6)構想を打ち出したが、ASEAN側では、日本がASEAN+1 (日本) やASEAN+3を投げ出すつもりなのか、と疑心暗鬼になっている。どうして、日本が理想と考える物・サービスの貿易自由化(FTAの部分)と、投資や制度に関する自由化・標準化(FTAを超えるEPAの部分)について、日本の基準を主張しないのか?
今後の日本の経済外交戦略は、アジア諸国と2国間FTA締結を急ぐとともに、ASEAN+日本を早期 にまとめあげ、ASEAN+3、そして+6へと発展すべきである。迅速さとタイミングが重要だ。
英語の原文: "Importance of Proactive "Economic" Diplomacy"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20061030_ito_importance/