ダニエル・ドーラン (東北大学) 「今年5月に国連とアムネスティ・インターナショナルが発表した年次報告書で、日本の死刑制度が取り上げられており、特に死刑執行に関する秘密主義が批判されている。日本では死刑囚は死刑執行の時期が予め知らされないこと、また面会の権利や法的な保護も不十分であることが指摘されている。さらに死刑廃止は世界の趨勢であり、現在先進主要国で死刑を廃止していないのは日本と米国だけであることも強調されており、日本が今後どうするか世界中が注目しているといえる」
英語の原文: Daniel Dolan "Should Japan Kill the Death Penalty?"
http://www.glocom.org/debates/20070531_dolan_should/
ネリサ・アサト (南カリフォルニア大学) 「ドーラン教授が日本の死刑執行に関する問題点を指摘している点については同感であり、またそもそも死刑判決に至る証拠集めから有罪判決までの過程にも自白の過度の重視など様々な問題があることは確かである。しかし、死刑そのものについては、国民の大多数が支持していることは事実で、他の国が廃止したからといって日本は自治権を放棄して死刑を廃止しなければならないという筋合いのものではない。日本でも米国でも、もし死刑の廃止が国と国民のためであれば廃止すべきであるが、そうでなければ継続されるべきである」
英語の原文: Nelisa Asato "Response to Danial Dolan's Commentary"
http://www.glocom.org/debates/20070620_asato_response/
ダニエル・ドーラン 「もちろん他の国が死刑を廃止しているから日本も廃止すべきという議論をしているのではない。強調したい点は、まず日本の死刑執行に関しては大きな問題があり、それが国際的にも明らかになっているということである。その上で、死刑廃止については、1965年から1995年の間に105の国(米国を例外とするほとんどの先進国を含む)が廃止したのに対して、90カ国は死刑を廃止していないが、そのほとんどが人権侵害など深刻な問題を抱えた国である。自由な民主国家を標榜する日本がどちらのグループに属するべきかを真剣に考える時が来ているのではないか」
英語の原文: Daniel Dolan "Rejoinder to Nelisa Asato"
http://www.glocom.org/debates/20070620_dolan_rejoinder/
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