安倍首相の突然の辞任表明は、日本国民を驚かせただけでなく、11月1日で期限が切れるテロ特措法の延長を事実上不可能にした。次の自民党総裁が福田氏でも麻生氏でも、新たなリーダーは日本が対テロ作戦の支援を続けるために新たな法案を通さなければならない。
これまでのテロ特措法延長の論議では、次の二つの異なる問題が取り上げられてきた。一つは、海上自衛隊がインド洋での対テロ作戦支援を続けるべきかどうかという日本の国際貢献の実質的内容についてであり、もう一つは現行の支援活動を続けるためにテロ特措法の延長で対応すべきかどうかという法的な措置の問題についてである。
最初の問題については、インド洋地域での日本の給油活動は、国際社会で高い評価を受けており、アフガニスタンへのテロリストや武器、麻薬などの海上移動を阻止するための船舶検査を支援する上で必要不可欠の活動である。さらに、米国主導の反テロ活動への日本の支援は、日米同盟の強化にも役立っている。北朝鮮の核問題や中国の軍事力拡大など、東アジアの不安定な状況下で、日米同盟の強化は日本の安全保障のための唯一の現実的な選択肢である。
しかしながら、もう一つの問題として、今回の安倍首相の辞任で不可能になったが、現行のテロ特措法の単なる延長は、海上自衛隊が現在行っている活動を続けるための適切な措置ではなかった。米国の同時多発テロ事件に緊急に対応する形でこの特別法が制定されてから6年近くが経過したが、インド洋での対テロ活動の目的は、当初の米軍主導の軍事作戦から、船舶検査によるテロ活動の封じ込めへと移ったにもかかわらず、日本では国会での十分な議論なしにテロ特措法が3度も延長され、活動目的の再定義なしに、海上自衛隊による給油活動がいまだに続けられている。
日本のマスコミは、政府が海上自衛隊のインド洋での給油活動を継続するために新たな時限法案を準備していると報じている。しかし、日本にとってより望ましいのは、反テロ作戦支援を含めた自衛隊海外派遣のための恒久法を作ることである。
昨年12月の防衛省格上げの際に、国際平和と安全維持のための活動を本来任務に加えるために、自衛隊法が改正された。しかし、地域や期間を限定しない国際平和協力のための一般法は、国連主導の平和維持活動に自衛隊の参加を認めるPKO協力法以外にないのが現状である。それ以外の自衛隊の海外任務を認める新たな恒久法制定には、多くの時間と多くの議論が必要であろう。しかしそれでも、日本が長期的な視点から国際貢献を続けていくためには、この際そのための恒久法を整備することが適切であるといえる。
英語の原文:
"Permanent Legislation Necessary for Japan's Anti-terrorism Mission"
http://www.glocom.org/opinions/essays/
20070920_shinoda_permanent/