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注目記事(2007/11/19)

Opinions:
 
「日本の国際化とアジア人技術者の導入」
 アンソニー・デコスタ (ワシントン大学教授)
  
  日本は世界で2番目に大きなICT(情報通信技術)市場を持っているが、ソフトウェア開発のようなICTサービスは労働集約的であるために、日本では人手不足と競争力低下の危機に直面しつつある。少子高齢化の進行により、国内的にこの問題に対処することは難しく、また学生数の減少と若者の科学・工学離れを考慮すると、人材を海外に求める以外にないであろう。もちろん移民の問題はそれ自体難しい面を持っているが、日本がグローバルな競争と財・サービス・技術・資本の国境を越える動きという新しい現実を直視し、特に重要な人材の国際的移動を考慮しなければ、経済全体にとってマイナスになることを悟らなければならない。
  実際には労働者が不足しているかぎり国の門戸を閉ざしていることは難しく、1990年以来日本における外国人はほぼ倍増し、現在は約200万人に達している。特に中国からが一番多く、韓国と北朝鮮からがそれに次いでいる。ブラジル人やペルー人も最近増えているが、主として未熟練労働者が多い。熟練労働では中国人が圧倒的に多いのに対して、インド人は近年増加率は高いものの絶対数は依然として低い水準にある。インド人の潜在的な規模と評判の高さに比較すると、日本の低い数字は異常としかいいようがない。日本への外国人留学生について見ると、1990年以来約2.5倍に増加しているが、絶対数はまだ低い状態である。留学生についても中国からが最も多く、韓国と北朝鮮からがそれに次いでいる。ここでもインドからの留学生は非常に少ない。
  以上のような状況に鑑みると、日本の問題は、「はたして外国人労働者を必要としているかどうか」ではなく、「はたして今後十分な数の専門家や学生を海外から引き付けることができるかどうか」であるといえる。日本における外国人労働者の数から見ると、個々の企業は国内外の外国人を選択的に採用しつつあるが、日本全体としては外国人の役割について十分認識しているようにはみえない。実際には、欧米諸国が外国人専門家を優遇策で引き付けようとしているために、日本は専門家獲得競争に勝つことが難しくなっている。
  多くのインド人や中国人は、米国のような英語圏の国に行くことを望んでいるので、彼らにとって日本に行くのは次善の選択であるに過ぎない。もっとも中国人の場合は、日本は地理的に近く、文化的にも類似点が多く、日本になじんだ中国人がすでに多く滞在しているという利点があることは確かである。しかし、中国でもインドでも成長が著しいためにそれぞれの国内でも海外でも技術者に対する需要が急増しているので、日本は企業も政府もよほど積極的な対策を打っていかないかぎり、今後日本の主要産業の人手不足を解決することは不可能になるであろう。

英語の原文: "Adjusting to Globalization: Japan and the Mobility of Asian Technical Talent - Abridged Version"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20071119_dcosta_adjust/
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