東京・有楽町の海外特派員協会で12月13日に、東京証券取引所社長の斉藤惇氏が、国際金融センターとしての東京市場の可能性について英語で会見を行った。その要旨は以下の通りである。
金融のグローバル化のスピードが加速しており、世界の主要都市の証券取引所間の競争が激しくなっている。その中で東京を国際金融センターにするにはどうしたらいいのかについて、現在政府レベルで議論が進められており、そこではいかに金融市場で満足がいく商品を供給できるようになるか、またいかにプロの投資家の取引を促進するかといった問題が取り上げられている。ニューヨークやロンドンのような既存の市場だけでなく、中国やシンガポールのような急成長している新しい市場との競争も激しくなっている昨今、日本は金融サービス業促進のための国家的な政策を採用することが極めて重要といえる。
もちろん国家的な支援に加えて、東京証券取引所自体が日本の金融産業のためのインフラとしての明確な将来像を描くことが必要である。実際この点でこれからの数年が、東京市場の競争力を維持できるかどうかの分かれ道となるので、そのために以下のような計画を立てている。(1)次世代の証券取引システムを開発する、(2)自己規制の機能を強化することで市場の信頼と透明性を改善する、(3)品揃えを拡大するためにアジアを始め海外の会社をより多く上場し、またロンドン証券取引所と共に、国内外の新興企業向けの新しい市場を創造する、そしてさらにETFやデリバティブのような商品もより多く導入する、(4)欧米およびアジアの取引所との提携を進め、特に技術、ネットワーク、商品開発、プロモーションなどの分野で協力すること。
東京証券取引所がグローバルな市場競争の中で生き残り、世界の中での日本の資本市場のポジションを改善するためには、以上のような措置を着実に実施していくことが非常に重要である。そうすることが、日本の巨額な金融資産の蓄積に鑑みて、アジア地域と世界の他の地域にリスクマネーをより効率的に配分する上で大きく貢献することになるであろう。
以上のような斉藤氏のスピーチに引き続き、活発な質問が出たが、外国人特派員の質問は主に日本企業の持ち合いや「ポイズン・ピル」が東京市場の国際的な評判に与える悪影響という問題に集中した。このような質問に対して、斉藤氏からは、東証ではそのような手法を奨励も支持もしていないという見解以上の答えは得られなかった。
英語の原文:
"Activity Report: Tokyo Market As an International Financial Center: Head of Tokyo Stock Exchange"
http://www.glocom.org/special_topics/
activity_rep/20071214_miyao_fccj/