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注目記事(2008/1/15)

Opinions:
 
「日本を自立した国として再生させるには」
 目良浩一 (南カリフォルニア大学教授)
  
  前回の論文「歴史問題のオープンな議論を」(2007年)で報告したように、私はロサンゼルスでディスカッション・グループの会合を主催しているが、そこでの議論を踏まえて、日本が歴史問題を克服し、自立した国として再生する方策を提案したい。世界の中での日本のプレゼンスと影響が最近特に低下しており、アジアでの日本のイメージも改善しておらず、中国やインドのようなアジアの主要国に対して相対的な重要性が低くなっている傾向をどうやって逆転させたらいいのであろうか。
  日本に必要なのは、いろいろな政策を実施する前に、国として直面する問題に向き合い、自立と自信の喪失という国の根本問題を解決することである。他のアジア諸国に対しては、歴史問題によるイメージの悪化で日本は麻痺状態にあり、過去の首相による謝罪も日本のイメージを低下させるだけであった。いかに不必要な謝罪をやめて国としての尊厳を取り戻すかが問題である。また米国に対しては、日本は特に外交や防衛の面で事実上属国のような地位にある。いかに独立国として自らの国を守る気概を持ち、他国とイコール・パートナーとして協力していくかが課題である。
  このような問題に取り組むための第一のステップは、自分たちの歴史をこれまでのようにイデオロギー的な立場からでなく、客観的な視点から学ぶことである。特に、中国や米国のイデオロギーによるプレッシャーから自由になることが重要である。次のステップは、日本人や外国人の研究者に客観的な立場から日本の歴史や国際関係を研究するよう奨励することである。特に日本に偏見を持たない外国の研究者にもっと資金的援助を行うべきである。さらに日本に関する意見や見方を積極的に外に対して伝えなければならない。そのためにインターネットや本の出版および放送や映画作成などによる情報発信が必要であろう。
  そのような研究者や一般のレベルの活動に加えて、政府は自立した安全保障政策の前提としてのインテリジェンス(諜報)の能力を構築しなければならない。それなしに、防衛費をいかに増やしても国は安全にはならず、むしろ隣国との摩擦が激化するだけであろう。少なくとも日本は、インテリジェンスを完全に米国に依存している現状から、インテリジェンス分野の人的資源の教育や訓練を行うとともに新しい技術の応用を通じて自らの能力を開発する方向に転換する必要がある。国としてインテリジェンスと安全保障に関する学校や研究所を作ることも一案であろう。
  いずれにしても、日本は将来を見すえて自国のために重要な情報を活用し、インテリジェンスを強化する計画を立てるときにきている。それが日本のインテリジェンスや安全保障の能力を高めて望ましい方向に向けるためには、これから10年以上かかるかもしれないが、それでも今その第一歩を踏み出さなければならない。そうしなければこの急速にグローバル化する世界のなかで日本を再生させることは不可能であろう。

英語の原文: "Proposals For Revival of Japan As an Independent Nation"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20080115_mera_proposal/
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